どうも、Class of 2013のY.Mです。先日上海および東・東南アジア旅行から帰ってきました。現在学校は春休み真っ只中で、Bloomingtonもいつもより静かな感じがします。前回のブログで上海のCEIBSに交換留学することをお伝えしましたが、今回はせっかくなので、僕が履修した3科目(Health Care: Economics and Industry, Proactive Leadership and
Conflict of Interests, The Future of Global Banking and the Case of China)のうち、特に興味深かったThe Future of Global
Banking and the Case of Chinaについて触れてみたいと思います。(本授業もそうですが、さすが中国の学校だけあって中国市場にフォーカスした授業は充実しています。このように個別の事象や特定国の事情に興味のある方にとっては、交換留学は本当に良い機会だと思います。)
前回のブログでも少し書きましたが、実際に1か月間上海で生活すると、そのスケールの大きさに圧倒されます。これが現在世界で最も成長している都市なのだと肌で感じることが出来ました。以前までは知らなかったのですが、どうも2020年までに上海を世界金融センターにするという国家プロジェクトまであるらしく、その勢いはとどまることを知りません。一方で、それを達成するには色々と問題点があるのも事実なのです。本授業では、70年代から徐々に進められてきた金融改革を中心に、今後さらに中国経済が成長するためにはどうしたら良いかをレクチャーを主体に学びます。
そもそも70年代からの改革によって、
①
投資活動が活発になり、生産性が向上することで高い経済成長率を実現
②
商業銀行の多様化により、高いレベルでの総資本形成を達成
③
家計への貸し出しを徐々に緩和(特にリテールおよび不動産)
することに成功してきました。
一方で、
①
比較的低い資本コストによる過剰投資
②
社会保障制度の不備による家計の高い貯蓄率
③
限定的な投資オルタナティブによる不動産への資本流入と同バブルの崩壊リスク
④
脆弱な金利システムと柔軟性に欠ける為替制度による不十分な金融リスク評価
などの問題点も引き続き指摘されています。
このような状況下では、企業および家計のROIは低調なままであり、重度の国営企業(特に国営商業銀行)や地方政府への依存はマーケットの自立性を阻害し、企業のコーポレートガバナンスを損なう恐れがある一方、実際にどの程度の債務規模なのかが不透明になり、それに対する対策を立てることを難しくしているとも言えます。
これに対し胡錦濤政権下では、
①
国有企業改革
②
医療・年金改革など社会保障制度改革(特に農村部)
③
非都市部(内陸部など)への補助金支出拡大
④
戦略的産業支援
などを重点政策に据えてきていましたが、社会保障制度改革以外は問題の本質から外れているように見受けられます。今後、習近平政権下で上記挙げてきた問題点(特に過剰な投資・資本蓄積)に対しどのような対策が打たれるかが今後のポイントとなるのでしょう。
講義以外で実際に現地駐在員と話しても、帰任に際し、「元建てで貰った給与をどのように日本に持って帰るか悩んでいる」、とか在中外資金融機関のMDのレクチャーで、「依然すべての金融機関のうち、外資金融機関が中国で占める取扱高はほんの数%に過ぎない。」などの話を聞くたびに、中国の金融システムはまだまだ閉鎖的であり、実際に2020年に世界の金融中心になるためには、更なる改革開放が必要だと感じる場面は多いような気がしました。
以上、簡単に触れてきましたが、みなさんがKelleyに進学された際も、アメリカに囚われず、ぜひこの交換留学システムを活用して、色々と見聞を深めていただければと思います。
*写真は上海留学の際のものです。。
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