2016年5月28日土曜日

1年間のMBA生活を終えて

こんにちは、Class of 2017のK.Hです。5月6日、Kelleyでも卒業式が行われ、3名の2年生が卒業されていきました。また来年度に向けた合格者の方からも何人も質問を受けており、ちょうど入れ替わりの季節になっています。私自身、1年間MBAを終え、少し感じたことや1年間のスケジュールなどを記載したいと思います。

1.年間スケジュール


1年目のサマースクールからカリキュラム終了までのスケジュールは概ね以下のとおりです。

  1. 6月10日-7月末:サマースクール「Intensive English School」
  2. 8月1日-5日:Accounting、Finance、Business Analysis 未修者向けの準備コース「Jump Start」
  3. 8月7日-18日:就職活動準備とリーダーシップ研修「Me, Inc」
  4. 8月22日-12月15日:Fall Semester
  5. 1月9日‐5月5日:Spring Semester 

その後夏休みとなり、2年生はまたFall Semesterから始まって5月初旬に卒業していくことになります。KelleyのMBAは21か月ですが、サマースクールが他校に比べるとかなり早く始まりますし、成績のつかない「Jump Start」や「Me, Inc」もありますので、本格的に第1セメスターが始まるまでの助走期間がだいぶ長く取れます。

私自身、入学当初は周囲がなにを言っているのか分からずにだいぶ落ち込むことも多かったですし、それは最初のFall Semesterが始まっても同じでしたが、それでも長い準備期間を持てることは大きな意味はあったと思います。

2.1年間を終えて


卒業された2年生のみなさんが自問自答されていますし、多くのMBA経験者が語るところでもありますが、「MBAがどういった意味を持つのか」ということは私にとっても大きな問いであります。社費ということもあり「当社での仕事を行う能力は、当社内で働くことで、最も効率的に伸ばすことが出来るのではないか」という仮説は常に頭にあります。MBAで学んだことをそのまま会社のなかで使うような機会は、そんなに多くないのかもしれません。

それでも会社に多額の援助をもらいながら留学している以上、帰国後貢献できるだけの強みを身につけなければなりません。また、そういった危機感や緊張感は、モチベーションの源泉にもなりますので決してネガティブなものではありません。自分の強みや弱みを振り返りつつ、将来のキャリアプランに基づき、ハードスキルやソフトスキルを鍛えていくことの出来るMBAは、やはり非常にやりがいがあります。

3.英語力等について


多くの日本人生徒にとって分かりやすいMBAの恩恵と言えば、英語力があると思います。ですが、「アメリカでMBAで1年間も過ごしていればもう英語はペラペラだよね」なんてことは全くありません。英語力で非常に苦労することは大半の日本人生徒にとって避けられないことだと思いますし、それは渡米前に考えていたよりも大変なものになると思います。さらに言えば思ったよりも英語力は伸びてきません。

Kelleyの場合サマースクールが他校に比べて7週間と長く、渡米前はこれだけアメリカに住んで英語を学べばMBAでもそれなりに使えるくらいのコミュニケーション力がつくだろうと思っていました。しかし実際に蓋を開けてみると、それだけの期間を経てもなお、日常会話でも授業中でもさっぱり分からないことが大半です。特に酷いのがグループでの取組みで、数十分、数時間と周りがなにを言っているのか本当に理解できないまま過ぎていくことがあります。1年たった今でこそ当時ほど酷くはありませんが、今でも会議で置いてけぼりになり惨めな思いをすることなど日常茶飯事です。

MBA卒業後にアメリカ現地で働かれている日本人の卒業生と会う機会が何度かありましたが、その方たちも一様に口を揃えて「英語力では苦労している」と言います。10数年前にMBAを取られた当社の先輩にも相談したところ、「短期でどうにかなるほど英語は甘くない。真摯に取り組み続けて少しずつ伸びるもの」との応えを頂きました。10年20年海外で働かれている別の方が「英語は苦手、会議などは準備していかないと本当にダメ」と今でもおっしゃっていました。1年たって、こうした方たちの言葉がより真実味を持って理解できるようになりました。今ではコミュニケーション力はキャリアをかけて伸ばしていくものだと思っています。

しかしこうした壁を乗り越えて上手くチームを乗り越えて成果を出せたときは本当に気持ち良いものがあります。最初は周りについていくことさえ出来なかったのに、時にはチームをリード出来ることがあります。ネイティブに提案し、議論をオーガナイズし、チームとしての結論を出せる日が来るなんて!こうした成長過程を実感することは本当に日々の苦労が報われた思いがします。

最初の1年間はアッという間に過ぎました。次の1年はもっと早く過ぎ去っていくのだと思います。卒業までもう時間は残されていません。最初の1年に比べ2年目は難易度が下がるのは当然です。今年以上に自分を追い込んで今年以上に成長していける1年にしたいですね。





2016年5月1日日曜日

魔法の杖なんてない、が思いは大切に(本音のWhy MBA?)

こんにちは、Class of 2016のS. M.です。卒業式まで残り1週間を切っており、今回がMBAの学生としては最後の投稿となります。

同期にあたるM. I.さんがMBAでの留学生としての体験と成長について、S. T.さんがアメリカ/Kelleyで学ぶ意義について、と素晴らしい記事を投稿されているので、ぜひ読んでいただきたいのですが、私としては少しシニカルな視点から留学を終えるにあたり考えていることを書きます(私費留学寄りの話になっています)。

Just a tool

MBAがあれば、あなたは世界を良い方向に変えられるのでしょうか。MBAがあれば、あなたは優秀な経営者になれるでしょうか。…国際的な起業家になれるでしょうか。…仕事で優秀な成績を残せるでしょうか。…未経験の職種に転職できるでしょうか。

キャリア、マネジメント、ゴールにとってMBAは絶対に必要?

もし、受験生の方やビジネススクールへの留学を考え始めた方(あるいは単にMBAって何?という方)で、これらの問いへの答えが”Yes”だと思われるのであれば、一度”MBA”という単語を使わずにこれらのテーマについて考えることをお勧めします。

MBAは人生を豊かに出来るツールの一つですが、人生にとって唯一必須のものではないです。当たり前のことですが、何か目的があったとして、成し遂げる方法は常に複数ありますし、目的そのものを深く考え直すと、より良い他の目的が見つかることもあるものです。そのため、留学するかどうかは、どのような人生にしたいのか、という本人の考え方によるように思います(会社に指示されて…というならば、このツールをどう活かし、帰国後に会社に貢献するのかを考えるのが社員としての立場でしょう。)。

Not a Magic Wand

MBAはどんな問題でも解決してくれる魔法の杖ではありません。英語が話せるようになり、ストラテジー、マネジメントについて外国人とも議論できるようになり、問題を整理して解決するフレームワークをたくさん身に着ける。MBAに通えばこれらの能力自体は磨かれるかもしれませんが、では、これらの能力があれば全ての問題が解決するかといったらそうでもないわけです。

MBAは全てを解決する魔法の杖だろうか?何が出来て何が出来ないのか。

英語が話せたところで十分ではなく、直近では中国でのビジネスには中国語、長期的にはアフリカでのビジネスにはフランス語や他の現地語も話せたほうが良いでしょう。そもそも、英語自体の力で、ネイティブを上回ることはできませんし、言葉が話せるだけで問題が解決するわけでもありません。
ストラテジー、マネジメントについて議論したところで、実際に部下をやる気にさせて目標を上回る成果を挙げるには、個人レベルでのウエットな対応も必要になるでしょう。戦略や経営を語ってみたところで、実行力がないのであれば画餅に帰すわけです。
また、フレームワークというものは便利に見えるものの単なる枠組みに過ぎず、中身であるドメインの知識は自分でさらに学ぶか人を通して知る必要があります。また、フレームワークは適用の限界があり、それを超えて適用すれば企業を滅ぼす原因にもなり得ます。ケース・スタディでフレームワークの適用限界を議論するといっても、そもそもケースというのは理想化された状況であり、学びがそのまま現実社会で活かせるとも限らないです。

Okay, then why MBA?

ではMBA留学を選ぶ本当の意味とは何なのか、本音のWhy MBA?は、というと、人生という一度きりしかない体験をどのように過ごしたいのか、自分がどのような人間なのか、というところに尽きると思うのです。具体的なスキルであれば、何も海外MBAに留学しなくても習得する方法はたくさんあります。しかし、新しいことをしてみたい、違った環境から受ける刺激が好きだ、少数派の自分の存在意義を主張する困難ささえ自分の人生の糧にする、という人で、なおかつ、ビジネスクールの提供するハードスキルやソフトスキルが必要であるというならば、海外MBAに留学することが最高に楽しい2年間になるかと思います。

Kelley School of Businessの校舎。2年前にやってきたときは勝手が分からず右往左往したものです。

私自身、エッセーやインタビューでは、職務経験とキャリアゴールとのギャップを埋めるために必要なスキルはXとYとZで…といった話をしてきており、これ自体は今でも間違いないですが、同時に“MBAに行ってみたい。”と思ったときの新しいことに対する純粋なワクワク感といったものも変わっていません。実際、2年間をKelleyで過ごしてみて、スキルや人格面で鍛えられ、結果としてキャリアの方向性も大きく変えられたというのもあるのですが、新しい環境で困難があっても解決する中で自信がついたということと、学校・日々の生活・インターン・海外プログラム・休み中の旅行など本当に楽しかったということも同じくらい大切です。約4年前の“ビジネススクールに行こう”という気持ちをそのまま放置せずに本当に良かったと思います。

Cheers for all

これから受験準備に入られる方、既に受験勉強中の方、そして今後MBAに進学されるすべての方へ。受験プロセスは何かと大変なことも多いと思いますが、それ自体、自分について考える貴重な経験だと思って取り組んでください。そして合格した暁には、ぜひ最高に楽しい2年間を過ごしてください!
Indiana Universityの正門・サンプルゲート。在校生一同、みなさんをお待ちしています!

Bloomingtonで楽しむエスニック・レストラン5軒

Class of 2016のS. M.です。M. I.さん、S. T.さんとMBAの総まとめといった投稿が続いていますが、2年生としての最後の投稿前に別の話題で投稿します。これまで、Bloomingtonのステーキビールを紹介した記事を投稿したのですが、今回はエスニック・レストランについて書きます。アメリカに来るとバーガー、ステーキといったアメリカ料理、その次はメキシコ料理が目につくのですが、今回はそれら以外の地元のレストランをご紹介します。

Turkuaz Café - トルコ料理

http://www.yelp.com/biz/turkuaz-cafe-bloomington
トルコ料理では、近くにあるAnatoliaが学生には人気のようですが、その少し離れたところにあるこちらのレストランも負けず劣らず美味しいトルコ料理を出してくれます。フランスパンのような形のPidesがお勧めです。カリっと焼き上げた生地に肉汁たっぷりの具材が包まれており、暖かいまま食べると旨みが口中に広がります。また煮込み料理であるpot kebabもシチューともカレーとも違う別の美味しさでお勧めです。

カリッと焼き上げた生地に肉汁たっぷりの具材を包んだPides

Samira Restaurant - アフガニスタン料理

http://www.samirasrestaurant.com/
アフガニスタン料理、と言われると中々、何が出てくるのかイメージし難く敬遠してしまう人も多いと思うのですが、ぜひお勧めしたいのがこちらのレストランです。基本的にはトルコ料理で見られる串焼き料理であるケバブと米を主食としたメニューで、それほど変わったものが出てくるわけではないです。しかし、こちらのケバブは肉に味がしっかりと滲み込んでおり、スパイスの香りが肉のうま味と合わさり絶品です。また、主食の米は優しい味付けで、和食やインド料理で食べる米とは違った美味しさで、ついつい食べ続けてしまう味わい。
しっかり味のしみ込んだケバブと付け合わせのライス

My Thai – タイ料理

http://mythaicafeusa.com/
学生の間でも人気のタイ料理店です。米あるいは米麺を使った料理あるいは炒め物で主に甘辛い味わいに仕上げたものと、スープ類でトムヤンクンのように酸味を利かせたものが食べられます。何度か足を運んでいますが、どれを注文しても美味しく安心して使えるレストランの一つです。人気からか最近は2店舗目もオープンしたようで、新店舗ではなぜか寿司も提供している様子…これからの展開にますます期待のレストランです。

タイ風焼きそば(Pad Thai)は癖になる味わい

ナンは意外と小さいのですが、
薄焼きで美味しく、
カレーを食べていると体が底から熱く

Taste of India - インド料理

http://www.tasteofindiabtown.com/
インド出身の学生に聞くと評価が分かれるようですが、日本人として食べると美味しいと思ったインド料理店がこちら。辛さはインド仕様なのか、普通の辛さで頼むと体の底から熱くなり汗をかくような仕上がりになります。メニューは色々とありますが、バターチキンとオクラの炒め物は食べやすくおいしいのでお勧めです。なお、ランチにはバフェもやっているのですが、料理の質が落ちるので単品をお勧めします。







Mama’s Korean BBQ Restaurant - 韓国料理

小皿料理が色々ついてきて箸休めにぴったり
http://www.yelp.com/biz/mamas-restaurant-bloomington
アメリカでこういうのが出てくるとは、とちょっと驚くようなしっかりした味の漬け込み肉の焼肉と小皿のサイドディッシュ、キムチが揃う本格的な韓国料理店です。ハサミで肉を切り分け、炭火で焼き、サンチュに包んで食べ、美味しいと思って回りを見渡せばお客さんの大半がアジア系留学生。これは流行って当然だなあ、と納得の味でした。




今回は、アメリカ料理、メキシコ料理では、少し珍しい料理を出してくれるレストランを色々と紹介しました。どのレストランも個性的で楽しいですよ。KelleyをVisitしたとき、あるいはこちらに留学した時にはぜひ行ってみてください。

Indiana Universityで楽しむ音楽系のイベント

レストランに続いてもう一件。Class of 2016のS. M.です。Indiana Universityというと、Kelley School of Businessも看板学部の一つなのですが、Jacobs School of Musicは全米でもトップに位置する音楽学部で1,600人の学生とクラシック、ジャズから声楽まで幅広く抱える学部です。そのため、Indiana UniversityおよびBloomingtonでは手軽に音楽に触れられる環境が整っています。この記事では、これまで聞きにいった様々なコンサートとその会場を紹介します。

Bobby McFerrin at BCT

http://info.music.indiana.edu/releases/iub/jacobs/2015/03/IU-Jacobs-School-of-Music-vocal-jazz-ensembles-welcome-vocalist-Bobby-McFerrin-in-their-April-6-concert.shtml

Indiana UniversityのVocal Jazz専攻の学生たちの合唱団が、グラミー賞を10回受賞しているBobby McFerrin(日本では、CMに何度か使われているDon’t Warry Be Happyで有名。)をゲストアーティストに迎えてのVocalのコンサートです。Bloomingtonの古き良き時代の面影を残すBuskirk – Chumley Theaterという小さなホールで行われたのですが、Bobbyの貫禄を見せつけられました。歌い始めは今一つ自信のなさそうだった学生たちが、Bobbyとセッションを進めていくうちに笑顔で力強く歌い出し、会場全体を巻き込んだフィナーレはかなりの盛り上がりでした。
小さな町の古き良き劇場です。規模は小さいですが、雰囲気が素敵です。

Wynton Marsalis at Auditorium

http://www.iuauditorium.com/events/detail/wynton-jlco

こちらは、Indiana Universityのメインの劇場であるAuditoriumで行われたジャズ奏者のWynton Marsalis(こういう渋い人たち(笑))を迎えたコンサート。彼のバンドであるJazz at Lincoln Centerと共にジャズの名曲を次々と色艶のある音でこなしていき、聞いている方はうっとり聞き惚れてしまったものです。Auditoriumは2階席も含めて3,200席の伝統的な雰囲気の劇場は、演奏される音楽とも雰囲気が合い、良いコンサートに仕上がっていました。
IU Auditoriumは伝統的な雰囲気の劇場で、主に秋は音楽、春はミュージカルを楽しめます。

Singing Hoosiers at Auditorium

http://music.indiana.edu/departments/ensembles/singing-hoosiers/index.shtml

IUの音楽学部は音楽学部以外からも学生を募って大規模な合唱団を運営しています。Singing Hoosiersはさまざまな学部からオーディションで選ばれた学生が参加する合唱団で、年に数回、コンサートを行っています。プロを目指す人たちではないものの、音楽学部ではないから…と油断していると驚くような才能の持ち主が次々に登場します。言ってしまえば、大掛かりな学芸会のようなものなのですが、ここまでのレベルになる音楽学部あってのことという仕上がりで、少人数でのアカペラ、大人数での伴奏つきの合唱、入れ替わり立ち代わり歌うメドレーなど演出も凝っていて面白いです。
Singing Hoosiers!

Jazz Ensemble at MAC, Ford, Aura or Recital

http://music.indiana.edu/departments/academic/jazz/events.shtml

音楽学部ではJazz専攻の活動が活発で、学生による無料のコンサートが学期中は毎週1回のペースで、Big band Jazz, Latin JazzおよびJazz comboといった形で行われています。さすがにプロのコンサートと比べると、まだまだ、というレベルですが、上手く盛り上がる部分もあり十分に楽しめます。また、学内で行われて無料というのもあり気軽にフラっと行けるので回数を重ねていると上手い下手が分かるようになったり、学生たちが上達しているのが聞こえたり、自分の好きとするジャズのスタイルを探せたり、といった楽しみがあります。音楽学部はMusical Art Center, Ford, Auer, Recitalと複数のホールを持っており、どれも個性的ですので機会があれば一度は足を運ぶことをお勧めします。
Musical Art Center、略称MAC。
メインはバレエの公演ですが、学生によるJazz、Orchestraなど広く活用されています。


色々な音楽を手軽に楽しめるのがBloomingtonの良いところです。音楽に現在は興味がない方でも、留学に合わせて新しい分野にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。また、音楽については当ブログのこの記事でも別のコンサートやBear’s placeを紹介していますのでご覧ください。こんな街でビジネススクールに通ってみたいと思われた方、在校生一同までぜひお気軽にご連絡ください。