2018年12月30日日曜日

アメリカのMBAでしか学べないこととは?

Class of 2019のK.I.です。

MBA1年目が終わった時に振り返りの投稿を出来なかったので、1セメスターを残すのみとなった私の留学生活を振り返りたいと思います。受験生の皆様は年末年始もアプリケーションに大忙しだと思いますが、学校選びや今後のMBA生活の何かに参考になれば幸いです。

アメリカのMBAでしか学べないこと

MBA受験時から考え続けることになるテーマとして、「MBAでしか学べないことって何だろう?」ということがあります。受験期間中も含めて約3年間、貴重な時間をMBAのために捧げることにどれだけの価値があるのでしょうか。

2年目の秋学期は、このことをまた考えることがありました。留学生活も残りわずかとなり、今勉強している知識を派遣元企業でどのように活かせるのだろう?ということを考えたことをきっかけにして、「果たして自分は、業務で学ぶ実務的な知識よりも価値のあることをMBAに来て身に付けることが出来ているのだろうか?」ということに思いを巡らせました。

結論から言うと答えは出ませんでした。自分がこの2年間で学んだことや経験をどう活かすかは自分次第ですし、結局はMBAに来てよかったと思える理由を考えて自分を納得させることになるのだと思います。

ただ、MBA2年目にして、自分の成長を実感することはできています。 これは確実に、MBAに来てよかったと思える理由の一つになると思います。以下に具体的に書いていきます。

授業で学ぶスキルセット

まず授業では、MBAに来る前には知らなかったことをたくさん学びました。1年目のコア科目でアカウンティング、統計、クリティカルシンキング、ミクロ経済、ファイナンス、オペレーション、マーケティング、ストラテジーを履修し、選択科目ではファイナンスを専攻としつつ、マーケティングの副専攻もしています。

企業の将来の財務諸表を予想して企業バリュエーションのモデルを作ったり、回帰分析を使って需要の予想や価格弾力性の分析をしたりするなんてことは、MBAに来る前には全くできなかったことです。

ただ、この勉強は日本のMBAでも出来ます。わざわざアメリカに来て勉強することの意味は何なのでしょうか?

私は、「アメリカに来て、よくまとめられた教授の授業を受け、言語の壁に葛藤し、チームメイトと議論しながら勉強した」という経験が、勉強した知識を記憶に残らさせ、定着させることに役立つのではないかと思っています。 確かにMBAで勉強する知識自体は日本の本にも書いてありますが、アメリカで、英語で、苦悩しながら勉強したという情緒的な一面は無視できないと思います。

英語とリーダーシップ

次に英語については、あくまで自己評価ですがかなり上達したと思います。語彙やリスニング力が向上したのも少しはあると思いますが、何より「英語で自分の意見・質問を大勢の前で口にすることへの ハードルが低くなった」ということが私にとってのブレークスルーだったと認識しています。

想像してみてほしいのですが、クラス中に手を挙げると、半円状になっている教室では、クラス内の全員の目がこちらを向き、みんなが私の発言に耳を傾けます。クラス中に発言すること、グループワークで自分の意見を英語で述べ、チームに納得させること、というのは、とても勇気のいることです。そしてこれはチームリーダーシップにつながってきます。私は一番初めのコア期間中、発言する勇気が出ず、リーダーシップを発揮できずに歯がゆい経験をしたことが何度もあります。

Kelleyではコア期間の終わりに、コアを一緒に過ごしたチームメイトからフィードバックのコメントをもらえます。私の思っていた通り、チームメイトからは「もっと意見が聞きたかった」「ミーティングで反対意見があるのなら、もっと強く発言すべきだった」などのフィードバックをもらいました。こうしたコメントを踏まえて、自分の中でコア期間中の自分の行動を反省し、選択科目のチームでは積極的に発言し、ディスカッションをリードしていくことに努めてきました。

具体的には、ミーティングのセッティングを進んで行う、 ミーティング前の準備をしっかりすることでミーティング冒頭から議論をリードする、反対意見を明確に述べる、チームメイトの意見に耳を傾ける、などです。どれも当たり前のように聞こえるのですが、言語が変わり、チームメイトが全くバックグラウンドの違う者に変わった途端に難しくなるのです。

努力の甲斐もあってか、現在は、選択科目でチームを組む際、一緒にチームを組もうと誘われたり、一緒に勉強しないかと誘われることが多くなりました。これまで選択科目で多くのチームを組んできましたが、チームワーク面での努力を評価され、信頼を得られてきた証拠だと自分なりに解釈しています。

また、クラス中も迷いなく手を挙げて発言・質問できるようになりました。秋学期に履修した授業では、質問内容を教授に褒めていただき、周りに座っていたクラスメートから「Good Job!」とほめてもらうことが出来ました。これまで英語で発言する自信の壁と闘ってきた努力が報われたような気がして、とても嬉しかったことを憶えています。

こうしたリーダーシップや自信は、外国でマイノリティとなり、英語も上手に話せないという逆境のなかで、苦悩しながら努力した結果得られたものだと思っています。

MBAに来て良かったか

このように、MBAに来たことで、日本にいたとしたら得られなかったような知識・経験・自信・リーダーシップを身に付けることが出来ていると思います。ただ、前述のとおりそれがどれだけ価値をもつのかはわかりません。日本に戻って派遣元企業でまた働き始めた際には、MBAで学んだことを活かすか殺すかは自分次第でありながら、大きな組織の中で自分が起こすことのできる変化の小ささに葛藤し、模索していくのだと思います。その時に、Kelleyで勉強・経験したことが将来必ず助けてくれると私は信じています。


もうまとめに入ってしまっていますが、Kelleyでの留学生活はまだ残り1学期ありますので、会社に戻った後のキャリアで活かせるかもしれない何かをできるだけ吸収して帰りたいと思います!

2018年12月11日火曜日

Kelley卒業生の就職データ

Class of 2019のK.I.です。

マーケティングに強い学校として知られているKelleyですが、Poets & Quantsに最近投稿された記事を見てみると、卒業後、P&Gに代表される消費財メーカーでの職に就く者は全体の15%程度であるとされていて、想像するほど多くはありません。


MBAの機会を利用してアメリカでの転職を考えている方や、米国企業とのコネクションを作りたいと考えている方もいらっしゃると思いますので、今回は2017年のKelley卒業生の就職データについて紹介させていただきます。


まず卒業後の就職先の産業ですが、コンサルティングがトップで25%、次がテクノロジーで24%となっています。年俸の中央値はコンサルティングが一番高くなっています。マーケティングでイメージされがちなB2Cの消費財は前述の通り15%です。

次に職務です(米国企業では、職務に応じて求人を行うことが多いです)。職務については、マーケティング職が一番多く34%、その次がコンサルティング職で32%となっています。やはりマーケティングに強い学校とあってマーケティング職が多いですが、先の表のデータを踏まえると消費財に限らず製造業やテック業界等、他の産業でマーケティング職に就く者も多くいることがわかります。

勤務地については、インディアナ州の学校とあって中西部が圧倒的に多く46%です。その次が西海岸で25%となっておりこれはテック企業への就職者が多いことが理由として挙げられるのではないでしょうか。Kelleyのプログラムの特徴であるAcademyでは、企業訪問を行う機会があるのですが、その対象も中西部の企業が中心となっていました。

最後に全卒業生の平均年俸の過去4年間の統計です。米国の景況が全体として良かったことも影響していると思いますがベース年俸、ボーナスともに順調に上昇しています。日本円に換算すれば年俸+ボーナスで約1500万円。Class of 2017の卒業時の平均年齢は約30歳ですから、30歳でこの年収を得られるとは素晴らしいですね。米国でMBAの学位が高く評価されていることの顕れだと思いますが、一方で米国企業と日本企業との実力の差を見せつけられているような気がします。日本企業、ガンバレ!!

就職先企業の一覧はKelleyのHPで閲覧できますが、以下の企業がTop MBA Hiring Companiesとして例示されています(Topの定義は不明。採用人数でしょうか)。

https://kelley.iu.edu/recruiters-companies/graduate/employment-statistics/recruiting-companies/index.cshtml

  • 3M
  • Abbott Laboratories
  • ConAgra Frozen Foods
  • Cummins, Inc.
  • Deloitte Consulting
  • Dow Chemical
  • Ecolab
  • EY
  • General Motors/OnStar
  • IU Health
  • Johnson & Johnson
  • Nestle
  • Procter & Gamble
  • Target

以上のデータで、Kelley卒業生の就職先や企業との接点について全体的な傾向をつかむことが出来るかと思います。全体な傾向として、例えば東海岸の金融サービスなどの業界に進むものは多くはありません。そういった企業に就職したい・コネクションを作りたいという方は、NYなどの学校に進まれた方が機会は多いと思われます。(KelleyにはCapital Market Academyもありますので、全くないわけではありません)一方で、中西部の製造業・小売業・消費財や、シカゴをベースとするコンサルティング、西海岸のテック企業などは就職者も多く、学校にリクルーティングに来る企業も多いです。そういった業界に興味のある方は、進学先にKelleyも一考されてみてください。

*すべてのデータはKelleyのGraduate Career ServicesのHPから抜粋しました。