2022年12月1日木曜日

ワシントンキャンパスプログラムについて

Class of 2023Y.Yです。今回はKelleyExtra Programの一つである、ワシントンキャンパスプログラムについてご紹介したいと思います。

ワシントンキャンパスはビジネススクールや公共政策大学院の学生などを対象に、政治とビジネスとのかかわりについての理解を促進するために1978年に設立された非営利団体です。本拠は議会議事堂にほど近い、ワシントンDCの中心にあります。Kelleyの学生が参加できるMBA向けのプログラムは年に数回、5日間の日程で開催されています。Kelleyの学生であれば参加費は不要(ただし、交通・宿泊は自費です)で、正式なコースとして単位も付与されます。私は、1017日~21日の回に参加しました。


1.プログラムの概要

プログラムの主な目的は、「米国の企業がどのような目的・アプローチでロビー活動を行い、法案・規制に影響を与えているか」を学ぶことにあります。そのために、さまざまな業界のロビー活動担当者、元連邦政府機関の高官、メディア記者などから、政府・規制当局などとのかかわりあいの実態について講義を受けることになります。なお、ワシントンプログラムにはインディアナだけでなく、エモリー、UNCUCLA、などさまざまなビジネススクールの学生が参加するので、お互いを知る良い機会にもなると思います。

5日間の講義終了後は、レポート2本の提出とチームプレゼンテーションが求められます。チームプレゼンテーションの課題は、特定の企業とその直面する課題を選択したうえで、それらを解決するためにいかに政府、議員、規制当局にアプローチするかを考えるというものでした。私のチームはあるフィンテック企業を題材に、FRBFDICOCCといった機関に対してどのように適切な(互いの利益となるような)業界規制を求めるかを考えました。もともと、米国特有の複雑な金融規制がビジネスとのかかわりあいのなかでどのように決まっているかに関心があったので、このチーム課題は私にとってよい勉強の機会になりました。

 

2.雑 感

端的にいって、米国における企業のロビー活動の規模の大きさに驚かされました。私が参加した回では金融、情報通信、食品、電子機器製造業など、さまざまな業界の有名企業からゲストスピーカーを招き、講義が行われたのですが、すべての企業がロビー活動のための専門の部署をもっていました。こうした企業は、議事堂の近くにオフィスを構え、定期的に議員やそのスタッフ、あるいは規制当局などに働きかけを行っているようです。さらには、こうしたロビー活動を支援するためのコンサルティング企業も数多く存在しています。

ロビー活動の中身はその企業や業界がおかれている状況によって異なります。しかし、①まずはデータなど使いながら、業界の置かれている現状について関係者の理解を促す、②そのうえで、新たな法案・規制(あるいは規制緩和)を提示し、それらが業界に利するだけでなく、社会全体の厚生を促進するものであることを示す、という点は、どのロビイングでも共通する戦略のようです。特に、あるゲストスピーカーが言っていた「法案、規制の作成を担当する議員、政府スタッフがその対象である業界の専門家であるとは限らない。だからこそ、まずはその業界について理解を促すことが重要である。」という言葉は印象的でした。ロビー活動というと、企業や団体が私的な利益のために政治を誘導するといったネガティブな印象があり、またそうした側面を完全に否定することはできません。しかし、規制する側が業界について誤った認識をもっていれば、それもまた社会にとって不利益になることも事実です。今回のプログラムをつうじて、企業の積極的なロビー活動には、一定の社会的な役割があるのだと考えるようになりました。


3.最後に

以前、官庁に出向していたこともあり、もともと政治には関心があったのですが、ワシントンプログラムは日本とは大きく異なる米国企業のロビー活動の実態を知る良い機会になりました。なお、日本ではビジネスと政治のかかわりあいについて意識的に学ぶ機会は少ないと思うのですが、実際は日本でもビジネスと政治は切っても切れない関係にあります。ワシントンキャンパスはそうしたビジネスと政治との関係を意識的に考え直す良い機会になると思います。留学の際には、ぜひ参加をおすすめします。

Kelleyに関して質問等ございましたら、お気軽に在校生までお問い合わせください。

https://kelley.iu.edu/kjsa/contact/

2022年11月1日火曜日

マーケティング専攻科目について

Class of 2023Y.Tです。今回は7月にY.Y.さんが書かれたKelleyのファイナンス専攻必修科目に続き、マーケティング専攻の必修科目について触れたいと思います。Kelleyの専攻に関するお話についてはY.Y.さんのブログもご参考にしてみてください。https://kelley-mba-japan.blogspot.com/2022/07/kelleymajor.html

 

■マーケティング専攻必修科目(3単位)

Market Based Analysis

Marketing Strategy

 

■選択科目(9単位)

Pricing ManagementBrand Asset ManagementDigital Marketing等のマーケティング系科目から9単位以上(基本6科目以上)

 

■その他選択科目(3単位)

マーケティング系以外の科目から3単位以上

 

マーケティング専攻に必要な科目情報については以下サイトもご参考ください。

https://kelley.iu.edu/programs/full-time-mba/academics/majors-minors/marketing.html

 

以下、マーケティング専攻の必修2科目についてコメントします。


1.Market Based Analysis

データを元にした定量把握、分析ツールの学習と、定性的なマーケティング基礎概念の双方を扱う授業です。定量面では例えば、市場規模算出、MROIMarketing Return on Investment)およびNMCNet Marketing Contribution)によるマーケティング費用対効果の算出、回帰分析を用いた需要予測といった分析を扱います。これらに加えて定性面としてもHarvard Business Review記事を踏まえながら、例えばSource of Revenue(既存顧客/シェア奪取/市場成長/新規開拓への区分とそれらへの対処方針、等)、Super Consumerの築き方、組織内で需要予測精度を上げる仕組み作りといったいくつかのトピックについて、教授自身の長いマーケティングコンサル経験(GEDOWEli LillyIBM等)を交えて議論しました。この議論に各学生のそれまでの様々な職業経験情報も加わることになるので、それまでB2B1つの業界でしか働いたことのなかったB2C、海外市場といった観点から自分にとっては視野が広がる機会となりました。またこの授業はKelleyマーケティング部門の看板教授が担当していますが、大量のCold callならぬWarm callを通じた学生の巻き込み方が秀逸でした。教授による各コメントにはその温かい人柄がにじみ出ており、また生徒の人柄や能力を見て投げかける質問を選びながらInclusiveな雰囲気づくりを心掛けているようです。様々な立場の生徒を嫌な思いを感じさせることなく議論に巻き込んでいくやり方は、授業以外の場であったとしても参考にすべき部分が多々ありました。マーケティングの基礎を広く深く学び、かつ日本における授業との違いを肌で感じることができる良いクラスだったと思います。


2.Marketing Strategy

こちらMarket Based Analysisよりも定性的でストラテジー思考を鍛えることに重きを置いた授業です。各授業の前半で市場選定・自社リソース&ケイパビリティ分析・市場志向性(顧客/競合)・提供価値の判断基準・市場参入時期の決定・マーケティング組織形態・戦略実行・評価の各トピックを順序立てて座学で教わり、各授業後半でそれらトピックを念頭においたケースのディスカッションを行うというものでした。私自身が化学業界という少しニッチな業界からの社費生であるため、B2C業界のケースを通じ果たしてどこまで収穫を得られるか当初不安に感じていた部分はありましたが、授業では各業界の個別性を扱いつつも、事業運営する組織であればその多くに適用できる視点にまで学びが汎用化されており、全ての授業内容が私にとって有用でした。特に戦略はその内容自体よりも実行面で失敗するという点を教授は強調されており、戦略の実行面にも重きを置いている点はこの授業の1つの特徴なのではないかと思います。最終試験の内容は、とあるアメリカのデパートに関するケースを読み、そのデパートがとった戦略そのものの妥当性、戦略実行面の妥当性の評価と、それらを受けた戦略/実行方針提案をミニマム7ページのレポートにまとめて提出するというものでしたが、授業の内容を深く理解していなければ対応できない良問だったと思います。「It depends」、「私は魚を与えるのではなく釣り方を教える」という教授のメッセージの通り明快な正解を提供はしない代わり、各状況に応じ考えるべき視点を提供してくれる、私にとってはKelley在籍1年強の間で最も履修してよかったと感じる授業でした。

 

これら2つの授業以外にも魅力的な授業が数多くありますので、ご質問等があればkelley_jsa@googlegroups.comまでお問合せいただければと思います。

2022年10月5日水曜日

2022年9月24日土曜日

日本人在校生による非公式オンライン説明会開催のお知らせ(10/29)

 10/29(土)に日本人在校生によるオンライン説明会を開催します。当日はMBAプログラムの概要説明に加え、在校生から見たKelleyの魅力やBloomingtonでの生活など、様々な視点からKelleyでのMBAライフについてお伝えできればと思っています。今年出願予定の方だけでなく、MBA留学を検討中の方もぜひお気軽にご参加ください。

1.オンライン説明会概要

日時:20221029() 11:0012:00(日本時間)

開催方式:Zoom

2.申し込み方法

下記リンクから参加申込をお願いします。

https://docs.google.com/forms/d/11oIk2DnXiy8ArY_GpVNQW4iqszSf5PTf2EsUjKPTd1A/edit

当日の参加方法等に付きましては前日までに別途ご連絡させて頂きます。

インターンシップ(アメリカ編)

Class of 2023のT.Oです。今回は前回お話した日本でのインターンシップの後に経験したアメリカでのインターンシップについてシェアさせて頂こうと思います。

私は7月の中旬に日本でのインターンを終えた後、8月末まで約6週間カリフォルニアにあるスタートアップにてインターンとして働かせて頂きました。基本的にはファイナンスに関するお仕事でしたが、それ以外にもオペレーションやマーケティングに関するお仕事を任せて頂き非常に貴重な経験をさせて頂きました。

いずれの仕事においてもMBAで学んだ知識やスキルは様々な局面で役に立つことが多く、1年目の学びを実践的なレベルに高めるにあたって非常に有意義な時間だったと思います。例えばスタートアップ経営に欠かせないバーンレートやランウェイ分析に際してはAccounting Majorの必修科目であるA545-Introduction to Financial Statements Analysis and Valuationでの財務分析の経験が非常に役立ちました。私は留学前にメガバンクに勤務していたことから財務分析自体はできていましたが、やはりアメリカと日本では分析の勘所のようなものが若干異なっており、A545の受講を通じてそういった相違点を認識し、自身の分析の幅を広げることができました。本インターンではA545で学んだ知識を活かしてモデル作成を行った上で、自身のモデルをベースにCEOと何度も直接ディスカッションを繰り返すことで、授業で学んだ知識を現場レベルのスキルに高めることができたように思います。

また、スタートアップでは突発的に発生した課題に対して即座に反応し試行錯誤を繰り返しながら課題解決を行うわけですが、そのような働き方は大手企業での勤務経験しかない私にとっては新鮮で非常に魅力的でした。分からないことがあれば後回しにしたり前例に倣ったりといったケースが日本の大手企業には多いように(少なくとも私の職務経験上は(笑))思いますが、問題が発生した際にその場で思考し解決策を模索するスピード感を持つためには、やはりしっかりとした専門知識とそれをアウトプットする技術的なスキル、そして周りを巻き込むマネジメント能力のいずれもが必要であることを再認識しました。

さらに新しい環境でしばらく生活してみることでMBAプログラムだけでは知りえないアメリカを知ることができる点も、アメリカでインターンを経験することのメリットではないかと思います。西海岸にあるカリフォルニアでの生活は中西部にあるインディアナでの生活とは気候や治安、人種構成など様々な点で異なります。特にロサンゼルスには(良くも悪くも)ブルーミントンにはない発見があり、アメリカという国家に対する印象も大きく変わったように感じます。例えば週末に訪れた全米日系人博物館(Japanese American National Museum)は歴史的に日系移民がとても多いロサンゼルスならではの資料館で、戦前からの日系移民の歴史について知ることができました。MBAの夏休みは約4か月ありますのでその間に新しいアメリカを知りえるオプションの一つとしてもインターンシップはとても良い機会なのではないかと思います。

以上私のアメリカでのインターンシップ経験についてシェアさせて頂きましたが、アメリカのMBAの夏休みはとても長いので、どのようにその時間を有効活用するかがMBAライフの成功における重要な要素の一つなのではと思います。受験生の皆さんはこれからエッセイ作成が本格化してくる時期かと思いますが、ぜひこのタイミングでこの長い長い夏休みをどのように過ごすべきか考えておくことをお勧めします。

全米日系人博物館。ロサンゼルスを訪れた際はぜひ足を運んでみてください。

 

大谷翔平を観にエンゼルススタジアムへ。もちろん観光もサマーインターンの醍醐味です。

2022年8月26日金曜日

Kelley Japan HP一時利用停止のお知らせ

 現在Kelley Japan HPが改修に伴い一時的に閲覧不可となっております。

Kelleyに関するご質問やオンライン個別相談のご要望等ありましたらいつでもkelley_jsa@googlegroups.comまでご連絡ください。

ご不便をおかけしてしまい申し訳ありません。

2022年8月25日木曜日

ブルーミントンでの生活

Class of 2023Y.Tです。今回はKelleyのあるインディアナブルーミントンでの生活について、家族帯同者の視点から紹介したく思います。生活環境を志望校の判断材料の一つにされる方は参考にしていただければと思いますが、以下はあくまで概要ですので詳細情報が必要であればまた別途コンタクトをお待ちしております。

 

1.                      天候

ブルーミントンはアメリカ中西部に位置し、岩手県と同じくらいの緯度にあります。夏の最高平均気温は30 ℃、冬の最低平均気温は-5℃であり、気温もまた日本の東北地方に近いかと思います。日本ほど湿気が無いため夏は過ごしやすく、冬は時折積雪があるものの晴れ間も多く、常に雪が降り続けるということもありません。東京暮らしの長かった私としてもストレスを感じることなく過ごせています。

■ブルーミントンの平均気温(Weather Spark websiteより)

 

 

2.                      食材調達、外食関係

ブルーミントンの中にはいくつものスーパーマーケットがあります。メインのスーパーはKrogerBlooming foodsTargetFresh Thymeといったところかと思います。Y.T.調べではFresh Thymeに最も新鮮かつオーガニック品が揃っている印象で、Y.T.は通常Fresh Thymeで食材を調達しています。単身者でそこまで品質に神経質でない方はKrogerTargetでも十分かと・・(もちろん個人差はありますが。私自身は単身で過ごした10か月弱、Krogerでのみ食材を調達していました。)

 

Kroger

Target

Blooming foods

Fresh Thyme

品質

    

     〇

     

    

価格

    

     ◎

     

    

品数

   

     

     

    

この他、車があればKelleyから15分ほどのところにWalmartもあります。

またインディアナポリスの北東部(車で1時間半)に日本食スーパー(One world market)やWholefoodsTrader Joesもあり、我が家はドライブもかねて1-2か月に一度買い出しに出かけます。

続いて外食についてですが、ブルーミントンには多くの国から人々が集まっているためレストランの選択肢は豊富です。ハンバーガーや地場ビールを扱うアメリカンのお店を始め、メキシコ、韓国、中華、トルコ、インド、タイ、カザフスタン、ミャンマー、イタリアンなど数多くの種類のレストランが存在し、数え出せばキリがありません。Kelleyの友人とその出身国のレストランに行くと会話が盛り上がりますし、またもしお子さんを連れて外食できる状況であれば、食を通じて家族で他の文化と向き合う良い機会になるのかなとも思います。

 

3.                      住宅場所

日本人が比較的多いエリアについては家族帯同者、単身かで大きく分かれる印象です。家族帯同者はカレッジモールと呼ばれる商業施設周辺に、単身者はKelley学生が多く住むFountain parkWoodbridgeと呼ばれるアパートに多く住んでいます。いずれの場所からもバスが出ており、日本人の皆さんはバス通学をされている方が多いようです。もちろん住宅場所はこの限りではなく、私自身もそうですがダウンタウンに住むというのも1つの選択肢としてあります。私も当初は日本人家族の多い地区への入居を試みましたが、渡米タイミングにおいて優良物件が空いておらず、結果としてKroger(スーパーマーケット)に近くかつ徒歩通学圏内(Kelleyまで徒歩20分)のダウンタウンの一角を選びました。Undergraduateの学生は住めない規約があり、かつダウンタウンの少しはずれにあるアパートですので騒音は全く気になりません。アパート内は清潔で、管理会社の対応も迅速、的確でとても気に入っています。これらエリア以外でも、車を所有するのであれば選択肢はかなり広がると思います。

 

4.                      医療

学生本人は大学のStudent health center(Kelleyの建物から徒歩3分)がプライマリーケア(かかりつけ医)となりますが、子供については渡米後すぐにかかりつけ医を自ら探し出す必要があります。多くの選択肢はあるとは思いますが、私自身はIndiana大学系列の小児科で2人の子供がお世話になっています。言葉が流暢ではない我々夫婦にも大変丁寧に接してくれありがたく、かつ大学入学時に強制加入させられる医療保険でカバーされる可能性が高いため(とはいえ担当医によっては稀にインディアナ大学の医療保険でカバーされないことがあるようなので確認すべきですが)、日本人になじみのないアメリカの医療保険制度を強く意識する必要がないのもメリットと思います。

 

5.                      教育

私の二人の子供は20228月時点で29か月と9か月ですが、上の子が今月よりプレスクールに通い出しました。ユダヤ教系のプレスクールですが宗教観を強いることは一切なく、かつ直近の日本人の先輩方のお子さんも数名通われていたため英語の話せない日本人の対応に慣れているという点が決め手でした。価格は週3日、9-13時で$300/月です。インディアナ大学系列のプレスクールもあるのですが、費用が$1,000/月と少しお高めのため見送りました。小児科同様、こちらも選択肢は多々あると思いますが、口コミと実績で判断した形です。最初は登園時に不安な顔を覗かせていた我が子でしたが、アメリカ人のみならず中南米やアジア系の子供達のいる環境で今は毎日楽しく過ごしているようで、私の話す英語がバカにされる日も遠くはないと思っています笑。小学校については自宅場所に応じて学校が決められるため自ら選ぶことは難しいようですが、小学生の子供を持つ韓国人やインドネシア人の同級生の話を聞いても困ったことは特に生じていないようでした。留学生比率が比較的大きいと思われるため、町として非ネイティブの対応に慣れているのかもしれません。

 

6.                      レジャー

ブルーミントンは自然が豊富で公園も多く(自宅前に野生の鹿が出ることもあるとか・・)、また車があればLake MonroeGriffy LakeKelleyから車で各20分、5分程度)等に赴いてハイキングやカヤックなどを楽しめます。Indiana大学はスポーツも強く、バスケットやアメフトなどの大学スポーツのシーズン中にはかなり同級生と盛り上がります。少し遠出をしてインディアナポリスに行けば動物園、子供博物館、Indy 500の行われるIndianapolis Motor Speedwayを楽しむこともでき、5月下旬に行われたIndy 500を訪れた際には我が子はかなり喜んでくれました。その他、芸術面では全米で9番目に古いインディアナポリス美術館も人気で、スポーツ面ではインディアナポリスにはNFLColts)、NBAPacers)のプロチームも存在するため試合観戦するのも良いと思います。スポーツ、文化、自然がバランスよく楽しめる環境です。

さらに足を伸ばしてインディアナ州の外へ旅行する際は、ブルーミントンからインディアナポリス空港へはバスで1時間程度、そこからニューヨーク等の東海岸には2時間、シアトル等の西海岸には45時間のフライトで移動でき、米国内の旅行は比較的しやすいように思います。私もこの1年間でシカゴ、ニューヨーク、アリゾナ(グランドキャニオン)、シアトル、ケンタッキー、オハイオ(シンシナティ)等、単身、家族での旅行を楽しみました。

 

7.                     

私は留学1年目が終了する直前に、妻子がブルーミントンに転居したタイミングで中古車を購入しましたが、それまでは私含む同級生3人皆が車の無い生活を送っていました。基本的には車が無くてもバス、徒歩、自転車で生活はできるように思います。時折、遠出したい時には私はZipcarというシェアリングカーのサービスを使っていました。20228月現在も中古車市場価格は高騰しており、卒業時に高く販売できる可能性はあるものの、一時的な支出額はやはり大きいです。車が無くとも生活を送れる点はブルーミントンのメリットの一つかもしれません(必要有無はもちろん住む場所にもよりますし、所有していた方が便利であることに違いはありませんが)。

 

以上、主観も混じっておりかつ私自身も未だ分かっていないことが多くありますが、ブルーミントンでの生活について触れてみました。私自身も家族も初の海外生活だったため渡米前は不安だらけでしたが、ブルーミントンの気候やフレンドリーな人々の雰囲気、生活環境に救われトラブル無く過ごせています。ここでは書ききれないことも多々ありますので、何かございましたらkelley_jsa@googlegroups.comまでお問合せください。

 

添付:通学路の一風景。これと言って特徴のある場所ではないですが、自然が豊かで私の好きな場所の一部です。こういった場所がブルーミントンの中に数多く存在しています。



2022年7月25日月曜日

日本でのインターンシップ(実践編)

Class of 2023T.Oです。今回は私が夏休み期間中に参加した日本でのインターンシップについてご紹介しようと思います。

アメリカのMBAスクールの多くは5月の初旬から8月下旬の16週間が夏季休暇期間となり、ほとんどの学生はその間に企業が実施するインターンシッププログラムに参加します。私は日米それぞれでインターンシップの経験を積みたいと考え、最初の9週間で日本、後半の7週間でアメリカでのインターンに参加しました。

日本では某米国製薬会社の日本法人でFP&A(Financial Planning Analysis)の部署にて経営戦略立案・推進に伴うデータ分析に関するアサインメントを担当させて頂きました。アサインメント自体も非常に刺激的でしたが、それに加えて経営陣とのディスカッションなど数多くのコンテンツが用意されており、ソフト・ハードの両側面から非常に学びの多い期間を過ごすことができました。その中でも主だったものとして以下のような経験を得られることが、インターンシップ参加のメリットではないかと思います。

1.   自身と業務内容とのフィット感の確認

まずはやはり業務内容が自身のイメージと相違ないかフィット感の確認ができる点がインターンシップ参加の最大のメリットかと思います。

私の場合、将来的なFP&Aでのキャリアを想定して銀行やコンサルで業務経験を積んできたものの、実際にFP&Aで働いた経験があるわけではなかったため、結局は一般的な情報や憶測に基づいて必要とされるスキルセットを構築しているところがありました。今回2ヵ月という期間を通じてFP&Aという業務を経験したことで、そのポジションの役割や期待されるスキルについて理解を深めることができ、卒業後のキャリアイメージが一気にクリアになった気がします。

2.   MBAで学んだ知識やスキルの応用

私がアサインされたプロジェクトは極めてデータドリブンな要素が強く、MBAで学んだエクセルやBI関連のツールを幅広く活用することが求められました。また単にツールを操作するだけにとどまらず、現場レベルから経営陣レベルまでの幅広い視点でデータ分析を行うことが求められたため、技術的な側面においても単なるプレーヤー目線からマネージャー目線に視座を高める良いきっかけとなりました。

3.       現場レベルでのマネジメントやリーダーシップに関する学習

本インターンでは単にアサインメントをこなすというだけでなく、FP&A主催の会議にも毎回参加させて頂き、グローバルな環境でチームをリードしていく手法を実地で学ぶことができました。また、定期的にCXOクラスの方々とキャリアに関するディスカッションの場が設けられ、グローバルリーダーに必要なエッセンスについて直接お話を伺うことができました。このような経験を通じて、自分が理想とするマネジメントやリーダーシップとは何かを考え、現場での考察を踏まえて今の自分に足りないものを認識したことで2年目のMBAで学ぶべきことや目的意識が明確になったと思います。

また、グローバルな職場環境で経験を積むことで、自身の英語力をより実践的なものにブラシュアップできたこともインターンシップ参加の副次的なメリットだったかと思います。

以上様々な学びがあったインターンですが、これらは自身のキャリアプランに沿ったプログラムに参加したからこその学びであったと考えており、MBA留学において納得のいくインターン先を獲得することの重要性を改めて実感しました。

私の直属の上司はアメリカのMBAプログラムを卒業しており、メンターとしてお世話になった方もアメリカのMasterを修了していました。またFP&Aに所属する方の多くは金融や会計士、コンサル出身者であり、自身と非常に似通ったキャリアの方が多いという印象を受けました。そのためキャリアに関する質問に対して非常にクリアな回答を頂けるだけでなく、自身の課題や2年目のMBA期間中に取り組むべきことに対しても非常に的確なアドバイスを頂くことができました。

また、当社は何年も前から海外MBA留学生のインターン受け入れを行っており、インターン生の扱いにも非常に慣れている印象を受けました。アサインメントは各インターン生の特性や目的に応じてカスタマイズされており、プログラム期間中のケアも徹底されたものでした。インターンシップ参加の最大の目的は卒業後の就職先の獲得ではあるものの、自身の課題にマッチする質の高いプログラムに参加することで個人のスキルセットの大幅な向上が見込まれることを考えると、インターンシップへの参加もMBAでの学びの一部と考えられるのではと思います。

前回の投稿でもお話させて頂いた通り、日本でインターン先を探す場合でも選考プロセスはかなりハードであり、納得のいくインターン先を見つけることは簡単ではないと思います。これからMBA留学を目指す受験生の皆さんには、ぜひインターンシップへの参加も考慮に入れた上で留学前に自身の課題の棚卸し及び志望校の選定を行われることをお勧めします。

2022年7月16日土曜日

Kelleyにおける専攻(major)の概要とファイナンス系科目について

Class of 2023Y.Y.です。今回はKelleyにおける専攻(major)の概要と私が専攻する予定のファイナンスの科目の内容について簡単にご紹介させていただきます。

 

Kelleyにおける専攻の決め方

 

Kelleyではマーケティング、ビジネスアナリティクス、マネージメント、アントレプレナーシップ & コーポレートイノベーション、ファイナンス、アカウンティング、サプライチェーンのなかから少なくとも一つ、専攻を選択する必要があります。それぞれの専攻には必修科目と選択科目が定められており、各要件に従って授業を履修していきます。ただし、事前に専攻を登録申請する必要はないので、授業をとりながら途中で専攻を変えることも可能ですし、人によっては二つ専攻を選択することもあります。

 

例えば私が専攻する予定のファイナンスを例にとると、要件は以下のようになります(年度によって条件は変わる可能性がありますのでご注意ください)。1科目1.5単位です。

 

必修科目(3単位)

Asset Valuation and Strategy(ファイナンス基礎理論)

The Firm in the Capital Market(企業価値評価)

 

選択科目(9単位)

Short-term Financial Managementなどのファイナンス系の科目から9単位以上

 

その他選択科目(3単位)

ファイナンス系以外の科目から3単位以上

 

履修しなければいけない科目の数は専攻によって大きく異なります。ファイナンスの場合は必修科目が少ない一方、選択科目の必要単位がやや多い印象です。なおファイナンス専攻の科目はビジネスアナリティクス専攻の科目と重複が多いため、この二つ同時専攻とする学生が多いです。実務面からみてもファイナンスとビジネスアナリティクスは相性が良いので、おすすめできる組み合わせだと思います。

 

以下ではファイナンス専攻のイメージをお伝えするために、私が1年目の春学期に受講した必修2科目の内容を簡単にご紹介させていただきます。

 

    Asset Valuation and Strategy

 

CAPM、債券価格、デリバティブなど、ファイナンスの基礎となる概念を学ぶ授業です。この授業の特徴は、基本的な概念を表面的になぞるのではなく、ディスカッション形式であらゆる角度から生徒に質問を投げかけることで、深い理解を促すところにあります。例えば、完全効率市場仮説(Efficient Market Hypothesis)だと、「EMHが成り立つとき、ある二つの期間の株式リターンは相関するか?」「持続的に利潤を生み出す企業が存在するという事実は EMHに反するか?」といった質問が次々と投げかけられ、その場で回答を求められます。これらの問いは決して難しいものではないのですが、概念を表面的になぞっただけではなかなか答えられないものです。結果、授業への準備として、各自が概念を掘り下げて考えざるを得ないため、自然とファイナンスの考え方が身についていきます。数式の表面をなぞるだけではなく、その背後にあるロジックをあらゆる角度からディスカッション形式で掘り下げていくというスタイルは、私にとって非常に新鮮でした。個人的には、1年目で最も学びの多い授業でした。

 

    The Firm in the Capital Market

 

企業価値評価の基礎を学ぶ授業です。この授業では基礎的な概念を講義した後、ケーススタディが課され、提出後に解説を行うというサイクルが繰り返されるのですが、講義とケースの接続が本当によくできています。例えば、講義ではWACCの考え方やMM定理について説明を受けるのですが、最初はやや抽象的な印象を受けます。しかし、それに続くケーススタディは、講義で扱った概念をすべて活用しないと解答できないように作られており、自分で手を動かしながら、学んだ概念をケースにどう適用するか、時間をかけて検証しなければなりません。結果として、講義を受けた段階ではやや抽象的だった概念が、レポートを提出するころには、自然と自分のものになっていきます。長年かけて細部まで構築された授業という印象で、ファイナンス専攻でない人にもぜひおすすめしたい授業です。

 

以上、Kelleyにおける専攻の概要とファイナンス専攻の必修2科目の内容をご紹介させていただきました。Kelleyというとマーケティングやアントレプレナーシップが有名だと思うのですが、ファイナンスにも魅力的な教授、授業が揃っていると思います。複数の専攻科目を組み合わせることも可能ですので、ぜひ学校選びの参考にしていただければと思います。

2022年6月7日火曜日

Business Marketing Academyプロジェクト振り返り

Class of 2023Y.T.です。前回Y.Y.さんが書かれたStrategic Finance Academyの投稿に続き、私も1年次の春学期に行ったBusiness Marketing Academy(以下、BMA)での企業へのコンサルティングプロジェクトについて振り返りたいと思います。


1. プロジェクト概要

私はアパレル企業のプロジェクトに参加し、使用済製品のリサイクル状況に関する市場調査を行いました。顧客要望に応えるために必要、かつ可能な手段を考え、具体的にはWebリサーチや市場レポートを通じた化学合成品のリサイクル状況(米国内外)の調査を行い、また当該アパレル企業のB2B顧客へESGやリサイクル製品に対し抱く印象を電話でヒアリングし、結果を考察、次のアクション提案につなげるというものです。私以外のメンバーはアメリカ人2名、中国人1名、インド人1名であり、私はアカデミーの担当教官からチームリーダーとなるよう命じられました。


2. プロジェクトスケジュール

1月下旬:担当教官による各プロジェクト紹介、ならびに担当教官へ参加を希望するプロジェクト通知

EcolabEli LillyIntuitといった有名企業からスタートアップまで含めた計9つの会社が選択肢としてあり、企業のプロジェクトごとに新製品開発、マーケットリサーチ、競合分析といったテーマがあります)

2月下旬:顧客とのキックオフミーティング

3月中旬:リサーチ開始(以降、1回/週で顧客へ進捗を報告)

4月末:顧客(役員層)へのプレゼンテーション


3. 困難だった点

(1)チーム内の意識統一

チームリーダーといえど特に権限がない中で、またメンバー間でこのプロジェクトに注力できる時間や懸ける思いが異なる中で、さらには未だに語学力に難がある中でチームを采配するのは難しいものがありました。メンバーの中には就活のため思うようにプロジェクトに参加できない者、また顧客のプロジェクト焦点を狭めていく中で当初の想定と異なるテーマとなった結果モチベーションの低下した者もおり、各自の意識には当初ばらつきがありました。

(2)責任の明確化

阿吽の呼吸は通用しないため、何事にも責任や期限の明確化が必要でした。もともと人への作業依頼が苦手な私としては常に気が重い内容でした。

(3)グローバルスタンダードの見極め

他メンバーとの価値観や業務アプローチの違いが、ビジネス習慣または業務経験値のいずれの違いから来ているのか見極めが必要でした。自分が孤立すると周りの考えがグローバルスタンダードであるかのように思いがちですが、担当教官への相談の結果、周りがビジネス習慣を把握していないだけであると判明したこともあり、正しい判断を行うために広く周囲に相談した方がよい場合があることを痛感しました。


 4. チーム運営で意識した点

上記の難しさを受けていくつかの点を意識しましたが、特に意識の統一、良い雰囲気の醸成という点について特に意識しました。過去、Kelleyに来る前に勤務していた職場の上司から価格交渉における秘訣として、「よほどのことが無い限り、相手の希望を尊重すべき」という教えを受けたことがありました。この教えは交渉のみならず多くの場面で成り立つものと思っており、今回のプロジェクトにおいても筋が通っていると感じた際は基本的に相手の意見を採用することを心掛けました。その他、私はディスカッションで深く貢献できない分、打合せの事前準備(論点の明確化など)やチーム課題の遂行を積極的にこなし、少しでも多くの貢献点を示せるよう努めました。加えて、各チームメンバーとはプロジェクト外でもコミュニケーションを心がけ、可能な限り個々人の置かれた立場の理解に努めるとともに、感謝や労いの言葉は積極的に伝えました。


5. 結果、振り返り

このような心がけの甲斐があってか、positiveかつinclusiveなチームの雰囲気を醸成できたのではと自分では感じています。チームのアウトプットも改善した結果、顧客からも高評価を受け、かつプロジェクト後に行われるメンバーからの評価でもよい結果を受けることができました。当初は語学力の点から私にリーダーを辞めるよう薦めるメンバーもおり、私自身もリーダーを引き受けたことを後悔したこともありましたが、結果としてよい雰囲気でこのプロジェクトを終えられたことは純粋にうれしいです。

これまで私は営業というバックグランドを持つ手前、会計やファイナンスといった明確な強みを持たないことにコンプレックスを感じ、正直今でもその思いはぬぐい切れずにいます。しかし日本にいる際、営業として技術部署等の社内外の多くの関係者と接する機会に恵まれ、それらを通じて習得した人との接し方や業務への姿勢などは、日本のみならず海外においても通じ、ここが私の数少ない強みのひとつなのかもしれないという自信を少しながら得られたように思います。

単にMBAの教科書的知識を得ることは日本でもできますが、チーム課題を通じて様々なバックグランドのメンバーから成るチームを動かしていくことの練習は海外MBAならではのように思います。日本にいた際、なぜわざわざ留学するの?という質問に明確に答えられなかった自分がいましたが、今なら以前より自信をもって回答できる気がしています。残り1年もハード、ソフト双方のスキルを成長させられるよう頑張りたいと思います。

2022年4月24日日曜日

Strategic Finance Academyプロジェクトについて

Class of 2023Y.Y.です。今回は春学期の後半に行われたStrategic Finance Academy (以下、SFA) のコンサルティングプロジェクトについてお話したいと思います。

 

    概 要

 当ブログでも何度かご紹介しているとおり、Kelleyにはアカデミーと呼ばれるユニークな制度があります。日本の大学におけるゼミのような制度なのですが、さまざまな企業を招いての説明会など、就職活動に関連する活動が多いです。私はコーポレートファイナンスを志望する学生を対象とする、SFAに所属しています。

 今回ご紹介するSFAプロジェクトは、アカデミーに関連する授業の一つです。この授業では、チーム毎に割り当てられた顧客に対して、業界分析、戦略立案、財務分析などを実施し、プレゼンテーションを行うことが求められます。なお、春学期の後半は他のアカデミーでも同様のプロジェクトが実施されます。

 プロジェクトで割り当てられる企業は、大企業からスタートアップ企業までさまざまです。クライアントの要望も一様ではなく、新商品開発についての分析であったり、企業全体の戦略立案・財務分析であったりします。私のチームは、語学のコンサルティングサービスを提供するスタートアップ企業を担当することになりました。顧客の要望は、成長戦略の立案とそれに伴う財務分析です。


    プロジェクトの流れ

 大まかなプロジェクトの流れは以下の通りです。2月の後半に企業が割り当てられ、その後は4月後半のプレゼンテーションに向け、顧客とのミーティングを重ねていきます。ただし、この間には2週間の春休みが含まれており、実際に活動できる期間はそれほど多くありません。そのため、最初に顧客の要望を読み違えたり、スケジュールの設定を間違えたりすると、大変なことになります。幸い、今回はコンサルティング出身のチームメンバーがこうした管理を行ってくれたため、スムーズにプロジェクトを進めることができました。

プロジェクトのスケジュール(一部抜粋)
                  

    プロジェクトから得られた学び

 プロジェクトから得られる学びは、生徒の今後のキャリア目標によっても異なってくると思います。例えば、私費生の立場からみると、当プロジェクトはインターンでのプレゼンテーションに向けた予行演習という側面が強いです。一方、社費生である私の立場からみると、以下のような学びがありました。

 

チームマネジメント

 今回は他の方にリーダーを務めていただいたのですが、そこからチームマネジメントについて学びがありました。MBAの学生は分野ごとの能力・経験値のばらつきが大きいため、チーム全員に均等に仕事を割り振りつつ、一定の品質の成果物を出すのは簡単ではありません。その結果、成果物の質を上げるために能力・経験値が高いメンバーがすべてを担うことになりがちなのですが、チームを機能させるという観点からは当然、良いことではありません。今回のプロジェクトでは、リーダーがチームを機能させることを意識しながらプロジェクトを進行しており、成果物を重視してチームとしての機能を蔑ろにしてしまいがちな私としては、マネジメントの一つの形として学びがありました。

 

日米の起業環境の違い

 私は職場で起業に関する調査・研究に従事しているため、日米の起業環境の違いについて関心があります。特に、日本は米国と比較して起業活動が低迷しているといわれており、起業家教育、起業家への行政支援、資金調達環境など、どういった違いがその差異を生み出すかに関心がありました。

 今回、スタートアップ企業のコンサルティングを担当して改めて感じたのは、本質的な違いは意外と少ないということでした。例えば、今回私は財務分析を担当したのですが、日本の起業家と同じく、米国の起業家も数字の管理には不慣れで(ビジネススクール出身であっても)、困難を抱えています。そうした管理を支援してくれる行政機関があるわけでもなく、すべてが手探り状態です。また、経営実績の少ない起業家が資金調達に苦しむのも、日米共通です。一方で、起業家同士のネットワークの強さや労働市場の流動性には日米で大きな違いがあり、これらが起業活動の差として表れているように感じます。いずれにせよ、こうした日米の起業環境の違いを直に体験できるのは、コンサルティングプロジェクトならではの学びだと思いました。

 

以上、SFAプロジェクトの概要と私見をまとめさせていただきました。Kelleyに関して質問等ございましたら、是非とも在校生までお問い合わせください。

https://kelley.iu.edu/kjsa/contact/

 


2022年3月30日水曜日

選択授業の一例

Class of 2023Y.Tです。今回は202212月(1st 7 week)に履修した授業内容について触れたいと思います。Kelleyでは春学期、秋学期それぞれがさらに7週間ずつの2つのタームに分かれています。1つの学期を通じて同じ授業を受け続ける場合と比べ、より多くの種類の授業を履修できるという点でメリットがあると感じています。私が1年次春学期の1st  7 weekで履修した授業は以下の通りです。


- Introduction to Financial Statements Analysis and Valuation

財務会計の基本、財務諸表に基づいた企業分析の手法を網羅的に学習しました。国内外の有価証券報告書を読む機会が従来なかったため、冒頭から最後まで読むよい練習となりました。財務諸表の読み方のみならず企業のバリュエーションの基礎知識を学べ、投資家が株価、企業価値を判断する際の視点を一部でも把握できたのはよかったと思います。これまで営業/マーケティングをバックグランドとしていた自分としては新たな視点を得られたように思います。各会社の戦略に沿った財務比率の考え方について教授に相談したところIndependent Studyという教授-生徒の11の学習プログラム(単位取得あり)をしないかと提案されましたので、2年次にもし履修した場合は別途ブログにも記載したいと思います。

 

- Strategic Cost Analysis

管理会計の基礎を学ぶ事実上の必修授業です。管理会計の知識(損益分岐/原価管理/予実管理/移転価格等)について網羅的に学ぶことができました。Kelleyの多くの日本人卒業生がこの授業はついていきやすいとコメントを残す一方、日本人以外の同級生はこの授業に苦戦しているようでしたので、意外と管理会計の分野は日本人の素養として身についている強みの1つかもしれないと感じました。

 

- Business Marketing Strategy & Management

B2Bマーケティングに必要な知識について、B2Cとの違いも踏まえ包括的に学習する授業です。対企業の取引を考えるうえで必要な知識を広く扱ってくれるのでB2BのみでなくB2Cマーケティングの道を目指す人も多く参加していました。ディスカッションベースの授業であり、ケーススタディの内容をベースに授業の半分は学生側が話していたように思います。私も流暢ではない英語を駆使して自分の意見を述べましたが、教授を始め皆が真剣に理解しようとしてくれていたのが嬉しくKelleyの温かい学生の雰囲気を感じることができました。また、教授のJoshua Gildeaは即実践に使える考え方の伝授に注力されており、インターン中に活用できるよう、1年次の春学期の履修が勧められています。

 

- Developing Strategic Capabilities

Management Majorには必修授業です。企業文化/変革, M&A(特に買収後の企業統合、PMI)に必要なリーダーシップに特化した内容でした。Daniel Shum先生がLehman Brothersを始め長く投資銀行業界に身を置き多くのM&Aに関与した経歴をもっていたため、Lehmanを破産に至らしめた企業文化やM&A交渉、PMI時の注意点等、生々しい話を聞くことができました。社費生の自分としては派遣元の企業文化やリーダーシップ、M&Aの問題を想像しながら話を聞くことができ有用でした。

 

私費生の場合はインターンシップの獲得に向け、早々に自身の業務軸やキャリア戦略を考える必要がある一方、社費生の私は恥ずかしながらゆっくりとした時間軸で卒業後のキャリアを考えていた結果、この春学期は単に興味のある授業を履修するというスタンスで臨むことになりました。留学前にポストMBAのキャリア目標は明確にしていたはずなのに、いざこちらでいろいろな方々のお話を聞いていると異なった道も見えてきて、卒業後のキャリア目標が迷走したことが背景にあります。それでも派遣元企業の先輩方や人事部への継続的な相談、そしてこれまでのキャリアと将来的なゴール、自身の今の年齢などを踏まえてようやく大きな方向性が定まりつつあり、2年次は遅ればせながら少しは戦略的な授業選択ができると思っています。自らのキャリア目標を定めることは容易ではなく多くの人が悩むものと思いますが、目標決定が遅れたとしても、上述の通りKelleyの場合は各学期が2つに分かれ授業選択が比較的フレキシブルにできることから専攻転換がしやすいかとも思っており、そこもKelleyのカリキュラムの1つの良さだと思います(当然ながら早期にキャリア戦略を定めた人は専攻分野の授業を数多く受けられます)。私は夏休み期間中の自社アメリカ拠点でのインターンを検討していますが、そこで見出した実践での課題を踏まえ2年次の授業選択を行っていきたいと思います。