2020年11月29日日曜日

Aalto University への短期留学プログラム(Aalto Digital Business Master Class)

どうも。Class of 2021 T.T.です。

今回は、夏季休暇期間を利用して参加した短期留学プログラムについて、お伝えしたいと思います。

Kelleyは、アメリカ国外の様々な大学とのパートナーシップを結んでおり、それらとの繋がりを活用して学生に国外での学びの場を提供しています。

私は、フィンランドにあるAalto大学を短期留学先に選びました。

ただし、新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、本来はAalto大学に赴いて学ぶはずだったプログラムが完全オンライン講義に変更となりました。

私は、当プログラムのすべてを日本から受講しました。

短期留学の醍醐味である現地訪問が叶わなかったのは、非常に残念でした。

Aalto大学について

ヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ美術大学の3つの大学の合併によりできた大学だそうです。

合併は、国内のイノベーションを牽引する役割を持たせることを期待して行われたものであるとのこと。

私が参加したプログラムは、Aalto大学のMBAスクールが主催したものです。

Aalto大学
Aalto大学(Wikipediaより引用)

Digital Business Master Classについて

Aalto大学が提供する、企業のデジタルトランスフォーメーションとITを用いたビジネス最適化を主題とした短期集中プログラムです。

本プログラムは、Kelley MBA4.0単位分に相当します。

Aalto大学生の他に、当校を含む15の大学、26の国々から集まった計55名と授業を受けました。

更に、参加者のバックグラウンドも様々で、建築学専攻の学生もいれば、社会人も参加していました。

多様性に富んだメンバーでの学びの経験を提供することも、本プログラムの大きな目的の一つとなっています。

プログラムは、「事前・事後学習パート」「講義パート」「プロジェクトパート」に分かれています。

事前・事後学習パートは個人ワークです。

プロジェクトで顧客となる企業の事前調査やプログラム全体の振り返り等を行います。

講義パートでは、Digital Businessに関連したトピックについての講義を受けます。

プロジェクトパートは、51組のチームに分かれて、フィンランドの現地企業(顧客)に対するコンサルティングを行います。

《スケジュール》

  • 6/1-6/12       Pre-work
  • 6/29 Orientation
  • 6/30 Virtual Office Visit
  • 7/1   Data-Intensive Business (Lecture)
  • 7/2   Platform Business Models (Lecture)
  • 7/3   Design Thinking (Lecture)
  • 7/6-7 AI Ethics (Lecture)
  • 7/8   Data-Driven Marketing (Lecture)
  • 7/9   Leadership in the Digital Age (Lecture)
  • 7/10 Project Short-Pitch
  • 7/11-7/17     Project Work
  • 7/18-8/7       Reflection

講義振り返り

7/1: Data-intensive Business

ビジネスにおけるデータ活用の意義について、幅広く学ぶ講義でした。ビッグデータやAIのビジネス活用等の基礎的な知識から始まり、企業におけるデータ戦略に関する基本的な考え方を学びました。

7/2: Platform Business Models

プラットフォーム型ビジネスについて学びました。

今般成功を収めているプラットフォーム型ビジネスは、どれも「ネットワーク」「テクノロジーインフラ」「データ」の3つの価値を同時に提供することに成功しているとのこと。プラットフォームの価値を高めていくには、ユーザーの繋がり、シェア、プラットフォームの最適化が鍵となります。

ユーザー同士を繋ぎ、ユーザー間でのリソースの共有を促し、全体最適化を目指すことが、プラットフォーマーの役割となります。

7/3: Design Thinking

ユーザーに寄り添うことで革新的なアイデアを生む、デザインシンキング手法について学習しました。

ユーザーの潜在ニーズを理解し、ニーズを満たす商品やサービスを開発するのに有用で、コモディティ化した商品の溢れる市場の中で差別化を図るために活用されます。

7/6-7: AI Ethics

AI関連技術を活用していくにあたっての、倫理的な問題(バイアスと公平性、説明責任と修復可能性、透明性・説明可能性・信頼、安全とプライバシー)について議論しました。

7/8: Data-driven Marketing

デジタルマーケティングについて、その基本的な手法を学習しました。下記が学習した項目です。

  • 検索エンジンマーケティング(SEM
  • アフィリエイトマーケティング
  • コンテンツマーケティング
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • Eメールマーケティング
  • マーケティングオートメーション(MA
  • A/Bテスト
  • Webサイト設計         

7/9: Leadership in Digital Age

デジタル技術にリードされていくと考えられる今後のビジネスにおけるリーダーシップについて議論しました。

COVID-19パンデミックに代表されるような、世界経済に甚大な影響を与え、ビジネスのルールそのものを変えてしまうような変革が、従来よりも頻繁に発生すると予測されています。

COVID-19パンデミック後の世界における予想される動向について議論を交わしました。

プロジェクト振り返り

概要

現地企業(顧客)に対して全11チーム(51組)がそれぞれ割り当てられ、顧客から異なる依頼を受けました。

私の所属するチームの顧客は、フィンランドの電力会社の1つであるHelenでした。

Helenについて

 発電、電力販売、地域熱供給を行う電力会社。EU Orderを受けた長期的気候・エネルギー政策に後押しされる形で、国内での電気自動車(EV)及びプラグインハイブリットカー(PHV/PHEV)の国内登録台数が増加していることを受け、B2C顧客向けのEV充電ステーションの販売・取り付けを進めています。

今回、EV充電ステーションの導入先をB2B用途に拡大することを検討しています。

B2C市場外で言えば、公共施設(体育館など)の駐車場に導入した実績はあるものの、その他商用利用向けの顧客との繋がりは持たず、既存のマーケティング施策も現時点では無いとのことでした。

Helenからの依頼事項

Helenが提供する電気自動車用充電ステーションについて、B2B顧客に対するデジタルマーケティング施策を管理する上で、効果的なKPIの設定方法についてアドバイスが欲しい。

我々のチームからの提案

  • B2B顧客のカスタマージャーニーマップを描いた上で、「ブランド認知」から「Helen営業チームに引き継ぎ」までの顧客の動きをデジタルマーケティングツールにて追跡すること。
  • カスタマージャーニーの各段階における顧客の動きが掴めるようにKPIを設定すること。
  • HelenEVステーションプロバイダーとしての認知度が低い(と想定される)ため、ブランド認知向上とウェブサイト訪問者を専門ページに誘導することに焦点を当てること。

上記を提案するプレゼンテーションビデオと、4,000ワード程度でまとめたレポートを提出しました。

チームメンバーが異なるタイムゾーンに住んでいることもあり、リモートで提出物を仕上げるのには苦労しました。

プログラム全体を通して(所感)

多様な意見や考え方に触れる経験ができたと思います

普段、Kelleyにて講義を受ける際は、アメリカの大企業が題材として使われることが多く、生徒もアメリカ人が8割近くを占めています。

さらに、同じ大学のMBAコースに属しているということもあり、生徒間で共通した認識を持つ部分も多いと感じます。

それに対して今回のプログラムは、フィンランド人こそ人数は多いものの、参加者の出身国は世界全体に広がっていて、欧州に過度に偏ることもなく、学問や職業のバックグラウンドも統一されていない、多様性に富んだメンバーに囲まれて学ぶことができました。

4.0単位分貰えるだけあって、負荷の大きいプログラムでした。

事前ワークで10ページ程度のレポートを提出することになりますし、プロジェクトワークもプレゼンと4,000ワードのレポートの両方の提出が必要です。

ただ、その分学びも大きいプログラムだったと感じます。


以上、短期留学プログラムの一つであるAalto University DBMCのご報告でした。

Kelleyに関してご質問等ございましたら、ご遠慮なくKelley在校生までお問い合わせください。

2020年11月7日土曜日

米国MBA私費生の日本向け就職活動について

こんにちは、Class of 2021のK.Mです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

こちらBloomingtonでは先日までの残暑はすっかり影を潜め、秋をすっ飛ばして唐突に冬の寒さがやってまいりました。アメリカでは目下トランプさんvsバイデンさんの大統領選真っ最中でして、私がこのブログを書き終わるころには結果が判明しているかもと思い、ドキドキ(?)しながらこの文章を書いています。

今回は、米国MBA私費生が日本で就職活動(夏のインターンに向けて)をする場合のプロセスの簡単な説明と、私の就活体験談について共有させていただきます。


■就職活動のプロセス

※私が夏のインターンシップに向けて就職活動をしていたのは2019年秋ごろで、まだコロナ禍が発生していない時期でした。以下で記載する内容は、コロナ禍ではない例年の流れとして考えてください。

<ボストンキャリアフォーラム>

米国MBA生が日本での就職を目指す場合、例年11月頃にボストンで開催されるボストンキャリアフォーラム(以下、ボスキャリ)というイベントに参加し、そこでオファーを獲得するというのが典型的な流れとなります。

ボスキャリはMBA生だけでなく、学部生も含め全米から5000人以上の日本人および日本語話者が集まり、日本でのインターンおよびフルタイムオファーに向けて3日間集中的に面接を行うという一大イベントとなっております。

会場では100を超える超有名企業が所狭しとブースを構えており、学生は自分の興味のある企業のブースを訪問して企業の説明を聞いたり、その場でレジュメを渡して面接に臨んだりする(ウォークイン)ことになります。しかし事前に興味のある企業が定まっている場合は、このウォークインという方法ではなく、事前にホームページから企業にレジュメを提出しておき、イベント当日は指定された時間に企業のブースを訪れて面接を行うことが推奨されます。

また、イベント当日以前に一次面接があったり、ディナーというものに招待されたりと、当日以外にも隠しイベントが盛りだくさんなので、就活生は十分に注意が必要です。特に投資銀行などはレジュメの応募締切が非常に早いところもあるので、早め早めの準備を心掛けましょう。

(※補足)

2020年のボストンキャリアフォーラムについてはオンラインでの開催となりました。オンラインということは、日本を含む全世界からより多くの人が応募することができるため、競争の激化が予想されます。2021年以降どのような形態になるかはわかりませんが、変化に柔軟に対応できるよう心掛けておくことが重要です。

<企業に直接応募するケース>

いくつかの企業においては、ボスキャリには参加せず、企業のホームページからの直接応募のみを受け付けている場合もあります。日本の就職エージェントが開催するイベントや、MBA合格者向けの壮行会といったイベントに参加しておくことで、こういった企業の情報を得ることができたりもします(すなわち、就職活動は渡米前から始まっているということです!)。希望する企業がボスキャリに参加していないとしても、直接企業のホームページを検索したり、後述のLinkedInを活用するなどして、幅広く情報収集をすることをお勧めします。

<LinkedInの活用>

日本ではそれほど普及していないのですが、欧米では転職活動において、LinkedInというSNSが大いに活用されています。LinkedInのプロフィールをしっかり書き込んでいると、様々な企業から結構な数のアプローチを受けることができます。もちろん、自発的に興味のある企業にコンタクトをとることも可能です。

Kelleyのキャリアサポートは、LinkedInの活用の仕方も教えてくれます。米国で就活をする場合、ネットワーキング(社員とつながりを持つこと)の重要性をこれでもかというぐらい強調されます。日本での就活においては、ネットワーキングの重要性は米国ほどは高くないかもしれませんが、興味のある企業があれば積極的にコンタクトをとるようにしましょう。


■私の就活体験談

さてここからは、夏のインターンを獲得するまでの私の就活体験談です。上で、早めの準備だとかネットワーキングが重要だとか偉そうなことを書いたのですが、私の場合、常に締切に追われていたというのが正直なところでした。

<渡米前>

まずMBAに合格してから渡米するまでの間に、いくつかのコンサルティングファームやヘルスケア企業、および就職エージェントの壮行会に参加しました。ここでの人脈が後に活きてくることにもなったので、参加しておいて本当に良かったと思います。

日本にいる間に転職エージェントの方と個人面談も行いました。エージェントの方は親身に相談に乗ってくれますし、転職市場のトレンドを教えていただいたりレジュメの内容を見ていただいたりと、大変お世話になりました。

<渡米後~ボスキャリまで>

MBAのカリキュラム自体は8月から開始なのですが、私は事前の英語プログラムを受けるために6月に渡米しました。そして、ボスキャリのスケジュールが決まったかなり早い段階で、ホテルと飛行機の予約を済ませてしまいました。ボスキャリ直前になると会場付近のホテルが満室になったり宿泊費が高騰することも考えられるので、早めの予約をお勧めします。

MBAのカリキュラムが8月スタートで、ボスキャリが11月頭に開催(一部企業はレジュメの期限が10月頭だったりもする)ということを考えると、本当に、準備の期間が短いということがわかるかと思います。

私はプレッシャーをかけられないとなかなか動き出せない性格なのですが、救いだったのが、前の記事でA.Kさんが記載した通り、Kelleyのキャリアサポート(GCS)は非常に手厚いことでした。指導はすべて英語なのですが、ストーリーを伝えるときの構成や、どういったエピソードが刺さるかといった話は言語に関わらず有用でした。また、ケース面接を含む面接練習を行う機会も多く提供される(一部コンサルティングファームなどは、ケース面接を英語で行うところもあり)ので、これらの機会を活用しました。

気を付けなければいけないのが、日本での就活をする場合、英語レジュメの他にも日本語レジュメや職務経歴書が必要となることも多く、こればかりはKelleyのキャリアサポートで対応できる範囲を超えています。日本語の書類については、就活エージェントに相談したり、日本人の同級生とレジュメを見せあうなどして、対策を行いました。10月はコアの授業が結構忙しいのですが、授業後に学校に残ったり、週末を利用したりしてなんとか仕上げていきました。

学校のイベントとの兼ね合いで少し大変だったのがAcademy tripです。Business Marketing Academy(BMA)では、10月下旬にAcademy tripと呼ばれる一週間の企業訪問ツアーがあるのですが、ツアーの途中にオンライン面接が入り、過密スケジュールの中、日本との時差のためホテルのロビーで深夜(早朝)に面接を行ったりと、大変でした。ですが、Academy tripでシカゴを訪問しているときにちょうどシカゴで就活イベントがあったりして、上手くその機会を利用することもできました。

<ボスキャリ>

ボストンに行ったのは初めてでしたが、とてもいい場所でした。海風が強く、11月だと夜は結構寒かったです。黒いスーツに身を包んだ日本人がアメリカの一か所に何千人も集まるというのは、現地ではちょっとした大ごとなのだろうなと思いました。前日は会場近くのホテルに宿泊し、イベント当日は朝早くから会場入りしました。

イベント一日目、二日目ともに朝から夕方まで面接が入っており、それはそれは忙しかったです。精神的な疲労はもちろんのこと、会場がかなり広いので、移動で肉体的にも疲れました。会場では渡米前にお会いしたMBA受験仲間とお会いしたりもして、昔の戦友と別の戦場で会ったような感じでした。面接の空き時間には、面白そうな企業の説明会に飛び込んだり、会場の端で負傷兵さながら床に座り込み壁にもたれかかりながら体力回復に努めました。

夜は二晩ともディナーに参加させていただいたのですが、企業の方と交流できる絶好の機会でした。もちろん就職活動の一環ではあるのですが、色々とお話ができて、純粋にとても楽しかったです(ご飯もめちゃくちゃおいしかったです)。

<ボスキャリ後>

いくつかの企業と面接をさせていただき、幸いにも内定をいただくことができました。ボスキャリの面接後に内定連絡をいただいた企業もあれば、ボスキャリで面接した後、二次、三次面接とオンラインで行い、その後内定をいただいた企業もありました。そんなこんなで、夏のインターンに向けての活動は終了しました。

ボスキャリ会場。晴天でした

■まとめ

就活のプロセスを思い返すと、反省点は山ほどあります。MBAの授業やイベントは思ったよりも忙しいし、ボスキャリは思ったより早く到来するし、思ったよりも多くの準備が必要でした。だからこそ、とにかく早めにスケジュールを組み立てて、マイルストーンを設定し、就活仲間の同級生を巻き込むことが重要です。

100%の準備ができた状態で面接に臨める人間なんてのはほとんどいないと思います。しかし採用側の気持ちになって考えてみると、高い費用をはらってブースを設け、アメリカまで来て一日中面接をしていただいた上に、ディナーまで提供してくださるということで、我々留学生に対する期待値というものは相当に高いということがうかがえます。だからこそ、入念な面接対策(ケース面接がある場合は特に重要!)が必要となってきます。


インターンでの体験も書こうと思ったのですが、就活の話だけでいっぱいいっぱいになってしまったので、今回はここまでにして、次回、インターンシップでの体験談について記載しようと思います。

ちなみにまだ大統領決まってないです。接戦で面白い笑。


2nd-roundで出願される方はエッセイにスコアメイクと大変忙しい日々をお過ごしかと思いますが、もうひと踏ん張り、頑張ってください!

コロナについてもまだまだ予断を許さない状況が続きますが、体調には十分お気をつけくださいませ!


Kelleyに関して質問等ございましたら、是非ともKelley在校生までお問い合わせください。

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