2016年4月3日日曜日

MBA生活を振り返って

 こんにちは、Class of 2016 M.I.です。早いもので卒業前最後の投稿ということになってしまいましたので、今日はこれまでのMBAでの生活を振り返ってみるとともに、今後のためになるようなアドバイスを残しておきたいと思います。
 まずは、私のMBA経験を4つの段階に分け綴ってみたいと思います。

1、ショック期
 私は、TOEFL を20回以上受けてようやく100点を超えたので、英語が苦手な事は承知していたはずですが、100点を超えたという安心感で、自分の英語力を完全に過信していました。今思えば非常に甘かったと思っています。Kelleyの入学当初にパソコンなどのセッティングのセッションがあるのですが、IT担当者の英語が全く分からず、本当に困りました。米国に来て初めて、TOEFLのための勉強は所詮受験勉強に過ぎず、生きた英語を学ぶ必要があったということを思い知りました。
 また、授業についても、専門的な知識の無い会計やファイナンスの授業は、英語の分からなさに加えて内容が分からないこともあり、正直ついていくのにかなりしんどい思いをしました。ネイティブの学生がディスカッション系の授業で軽々と発言し、リーディングも素早くこなしている一方で、自分は授業の内容と英語能力の強化ということを同時並行で行わなければならず、コアの期間は大変苦しい思いをしました。また、学校内でも、教授の言葉は何とか理解できるのですが、教授と生徒、生徒同士の会話が全く聞き取れず、特に文化的な背景が必要となる雑談(ビールの銘柄やベースボールのチームの話など)になると、英語も内容も分からずなまじ英語に自信があったために非常にショックを受けました。この時期は暗闇の中をひたすら前に向かって歩いているような状態でした。

2、拒絶期
 入学して少し経ってくると、生活自体には馴染んできますが、今度はその内容について十分に留学生活を消化できてきない自分に苛立ちを感じてきました。例えば、ジョークやスラング交じりに話しかけてくるネイティブに対しては、ナイスガイであるとは思うものの、留学生なのだからもう少しきちんとした話し方で話しかけて欲しいなと思ったり、Kelleyの授業に対しても、細かい形式的な事を注意されること(例えばプレゼン時の立ち位置など)や、 転職活動を前提とした自己分析や模擬面接などに苛立ちを感じたりもしていました。また、自分自身に対しても、英語だけではなく中身についてもチームに貢献できないことに苛立ちを感じていました。これらの苛立ちは、後々徐々に消化されていくのですが、この頃は授業の課題に追われ、冷静に考える余裕がなかったように思います。

3、受容期
 コアが終わり少し経つと、ようやく少し余裕が出てきて自分の状況を冷静に見つめることができるようになってきました。特に、夏休みのドイツ・ウィーンの交換留学プログラムに行ってからは、必ずしも英語を話す全ての人がアメリカ人のように英語を話しているわけではないという当たり前のことに気づき、自分もアジア人としてビジネスレベルで使える英語をマスターすればいいという目標ができ、すっと肩の荷が降りました。また、これもよく考えれば当然なのですが、MBAの学生の多くがネイティブの私費の学生である以上、MBAプログラムが受験予備校的性質を帯びているのも事実であり、学校側もそのような学生をメインターゲットにしているので、就職支援に重点化されている意味を理解できるようになってきました。加えて、自分もその波に片足を突っ込むことで、アメリカの就職事情、ビジネスマインド、ビジネスマンに通常必要とされる素養を身につけることができていると実感できるようになりました。また、チームへの貢献については、徐々に勘所が理解できるようになり、英語が拙くても、内容がわからなくても、分からないなりにとりあえず発言をすることが大事であるということと、どんな発言がチームにとって有益かが分かる嗅覚のようなものが備わってきました。また、時には全員賛成の時に自分一人反対のポジションを取ってみて、議論を深めてみるということも合意形成に有益であることを学びました。

4、機能期
 MBA生活が折り返し地点に立った頃になると、次第にcomfortableになると同時に、 改めてMBAで得たかったこと、得られることは何かを意識し始めるようになり、戦略的に授業を取ると同時に、時には他学部の授業を履修したり、シンガポールへの交換留学でアジアにフォーカスした授業を取るなどしながら、将来のキャリアの肥やしになる知識を蓄えるよう心がけました。また、将来のキャリアビジョンを見据え、自分のロールモデルに合う人と会ったり話をしたりすることで、MBAでの生活を有意義なものにすることができました。

 以上が私のMBAの経験の概要です。4つのタームに分けて記載してみましたが、どうやらこのような分け方は、人が新しい環境に出会った時に経験する段階としてはよくある分け方のようですので、恐らくMBA留学という新しいことにチャレンジする方も多かれ少なかれこのような経験をするのだと思います。

 ただ、結果として私のMBA生活は段階を経て非常に有意義なものになったと思えるものの、おそらく初期の苦しい期間をより短縮して、より多くのものを吸収できる段階を増やすことができたかもしれないと思っています。そんな反省もありつつ、自分の経験をもとに、MBA生活について幾つかアドバイスをさせていただきたいと思います。

・まず1つ目はめげないことです。恐らく多くの日本人の場合、就職活動だけでなく英語の勉強も兼ねて留学をするので、クラスについていくのは相当苦しいのではないかと思います。一方で、入学が認められたということは、ポテンシャルはあるはずだということなので、これはめげずに勉強を続けていくしかないと思います。時には余裕がなくて苛立つこともあるかもしれませんが、それも成長の一環だと思って自分を見つめ直す機会と捉えてください。

・2つ目はアメリカの日常会話、文化(スポーツ、飲み)、国際ニュースにも習熟しておくことです。アメリカのMBAcomfortableに生活していくには、やはりどうしてもアメリカ人の会話、振る舞い、思考方法を理解する必要があります。また、日本人なのだから日本のことだけ話せればいいかというとそうでもなく、アメリカのニュースを聞くとともに、世界の情勢にアンテナを張り、自分がいかにアジア的な発想、日本的な発想をしているかということを客観的に見ることが、グローバルなビジネス感覚を身につけるために重要であるように思います。

・3つ目は迷っているならチャレンジしてみよう という心構えです。確かに私もアメリカのMBAの授業料は総じて高いと思いますし、MBAの費用対効果がどうということもありますが、留学しなければ得られないであろうチャンスや価値観を逃す手はないと思います。留学だけでもする価値があると思いますし、それに加えて海外MBAを取り、グローバルスタンダードのビジネスマインドを身につけられるチャンスは他に無いと思います。迷える余地があるのであれば是非チャレンジすべきだと思います。

 最後に、ひと昔前に比べて、MBAの環境は変わりつつある気がします。というよりは常に環境は変化しているというべきかもしれません。アジアのMBAの台頭、 EMBAの充実、オンライン講座の開設など多々変化の要素はあると思います。そのため、MBAをとる意味そのものをもう一度問い直さければならなくなってきているかもしれません。

 嘘か本当かは分かりませんが、数十年前は、日本人が大量に社費派遣でMBA留学をし、日本人同士で固まって授業を受けるような光景が見受けられたという話も教授から聞いたことがあります。一方で、現在は世界における日本のプレゼンスが薄れ、日本人MBA生も減ってきており、MBAの中でも個々人の力が試されるようになってきていると思います。そのため、現在のMBAはグローバルな環境の中で個人のプレゼンスを高める訓練をする絶好の機会なのではないかと感じています。私は、KelleyMBA生活を経験したことで、楽しいことや苦しいこと様々にありましたが、確実に自分が成長できたことを実感しています。また、世界中から集まった優秀な同世代の仲間と日々語り合うことができたのは何よりも有益な時間でした。皆さんも、それぞれのMBAを体験し、それぞれの成長を目指してみては如何でしょうか。その際は是非Kelleyを訪問していただけると幸いです。


 最後までお付き合いいただきありがとうございました。それではまた会う日まで。

写真:入学時オリエンテーションプログラムMe, Inc.にて

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