2022年7月25日月曜日

日本でのインターンシップ(実践編)

Class of 2023T.Oです。今回は私が夏休み期間中に参加した日本でのインターンシップについてご紹介しようと思います。

アメリカのMBAスクールの多くは5月の初旬から8月下旬の16週間が夏季休暇期間となり、ほとんどの学生はその間に企業が実施するインターンシッププログラムに参加します。私は日米それぞれでインターンシップの経験を積みたいと考え、最初の9週間で日本、後半の7週間でアメリカでのインターンに参加しました。

日本では某米国製薬会社の日本法人でFP&A(Financial Planning Analysis)の部署にて経営戦略立案・推進に伴うデータ分析に関するアサインメントを担当させて頂きました。アサインメント自体も非常に刺激的でしたが、それに加えて経営陣とのディスカッションなど数多くのコンテンツが用意されており、ソフト・ハードの両側面から非常に学びの多い期間を過ごすことができました。その中でも主だったものとして以下のような経験を得られることが、インターンシップ参加のメリットではないかと思います。

1.   自身と業務内容とのフィット感の確認

まずはやはり業務内容が自身のイメージと相違ないかフィット感の確認ができる点がインターンシップ参加の最大のメリットかと思います。

私の場合、将来的なFP&Aでのキャリアを想定して銀行やコンサルで業務経験を積んできたものの、実際にFP&Aで働いた経験があるわけではなかったため、結局は一般的な情報や憶測に基づいて必要とされるスキルセットを構築しているところがありました。今回2ヵ月という期間を通じてFP&Aという業務を経験したことで、そのポジションの役割や期待されるスキルについて理解を深めることができ、卒業後のキャリアイメージが一気にクリアになった気がします。

2.   MBAで学んだ知識やスキルの応用

私がアサインされたプロジェクトは極めてデータドリブンな要素が強く、MBAで学んだエクセルやBI関連のツールを幅広く活用することが求められました。また単にツールを操作するだけにとどまらず、現場レベルから経営陣レベルまでの幅広い視点でデータ分析を行うことが求められたため、技術的な側面においても単なるプレーヤー目線からマネージャー目線に視座を高める良いきっかけとなりました。

3.       現場レベルでのマネジメントやリーダーシップに関する学習

本インターンでは単にアサインメントをこなすというだけでなく、FP&A主催の会議にも毎回参加させて頂き、グローバルな環境でチームをリードしていく手法を実地で学ぶことができました。また、定期的にCXOクラスの方々とキャリアに関するディスカッションの場が設けられ、グローバルリーダーに必要なエッセンスについて直接お話を伺うことができました。このような経験を通じて、自分が理想とするマネジメントやリーダーシップとは何かを考え、現場での考察を踏まえて今の自分に足りないものを認識したことで2年目のMBAで学ぶべきことや目的意識が明確になったと思います。

また、グローバルな職場環境で経験を積むことで、自身の英語力をより実践的なものにブラシュアップできたこともインターンシップ参加の副次的なメリットだったかと思います。

以上様々な学びがあったインターンですが、これらは自身のキャリアプランに沿ったプログラムに参加したからこその学びであったと考えており、MBA留学において納得のいくインターン先を獲得することの重要性を改めて実感しました。

私の直属の上司はアメリカのMBAプログラムを卒業しており、メンターとしてお世話になった方もアメリカのMasterを修了していました。またFP&Aに所属する方の多くは金融や会計士、コンサル出身者であり、自身と非常に似通ったキャリアの方が多いという印象を受けました。そのためキャリアに関する質問に対して非常にクリアな回答を頂けるだけでなく、自身の課題や2年目のMBA期間中に取り組むべきことに対しても非常に的確なアドバイスを頂くことができました。

また、当社は何年も前から海外MBA留学生のインターン受け入れを行っており、インターン生の扱いにも非常に慣れている印象を受けました。アサインメントは各インターン生の特性や目的に応じてカスタマイズされており、プログラム期間中のケアも徹底されたものでした。インターンシップ参加の最大の目的は卒業後の就職先の獲得ではあるものの、自身の課題にマッチする質の高いプログラムに参加することで個人のスキルセットの大幅な向上が見込まれることを考えると、インターンシップへの参加もMBAでの学びの一部と考えられるのではと思います。

前回の投稿でもお話させて頂いた通り、日本でインターン先を探す場合でも選考プロセスはかなりハードであり、納得のいくインターン先を見つけることは簡単ではないと思います。これからMBA留学を目指す受験生の皆さんには、ぜひインターンシップへの参加も考慮に入れた上で留学前に自身の課題の棚卸し及び志望校の選定を行われることをお勧めします。

2022年7月16日土曜日

Kelleyにおける専攻(major)の概要とファイナンス系科目について

Class of 2023Y.Y.です。今回はKelleyにおける専攻(major)の概要と私が専攻する予定のファイナンスの科目の内容について簡単にご紹介させていただきます。

 

Kelleyにおける専攻の決め方

 

Kelleyではマーケティング、ビジネスアナリティクス、マネージメント、アントレプレナーシップ & コーポレートイノベーション、ファイナンス、アカウンティング、サプライチェーンのなかから少なくとも一つ、専攻を選択する必要があります。それぞれの専攻には必修科目と選択科目が定められており、各要件に従って授業を履修していきます。ただし、事前に専攻を登録申請する必要はないので、授業をとりながら途中で専攻を変えることも可能ですし、人によっては二つ専攻を選択することもあります。

 

例えば私が専攻する予定のファイナンスを例にとると、要件は以下のようになります(年度によって条件は変わる可能性がありますのでご注意ください)。1科目1.5単位です。

 

必修科目(3単位)

Asset Valuation and Strategy(ファイナンス基礎理論)

The Firm in the Capital Market(企業価値評価)

 

選択科目(9単位)

Short-term Financial Managementなどのファイナンス系の科目から9単位以上

 

その他選択科目(3単位)

ファイナンス系以外の科目から3単位以上

 

履修しなければいけない科目の数は専攻によって大きく異なります。ファイナンスの場合は必修科目が少ない一方、選択科目の必要単位がやや多い印象です。なおファイナンス専攻の科目はビジネスアナリティクス専攻の科目と重複が多いため、この二つ同時専攻とする学生が多いです。実務面からみてもファイナンスとビジネスアナリティクスは相性が良いので、おすすめできる組み合わせだと思います。

 

以下ではファイナンス専攻のイメージをお伝えするために、私が1年目の春学期に受講した必修2科目の内容を簡単にご紹介させていただきます。

 

    Asset Valuation and Strategy

 

CAPM、債券価格、デリバティブなど、ファイナンスの基礎となる概念を学ぶ授業です。この授業の特徴は、基本的な概念を表面的になぞるのではなく、ディスカッション形式であらゆる角度から生徒に質問を投げかけることで、深い理解を促すところにあります。例えば、完全効率市場仮説(Efficient Market Hypothesis)だと、「EMHが成り立つとき、ある二つの期間の株式リターンは相関するか?」「持続的に利潤を生み出す企業が存在するという事実は EMHに反するか?」といった質問が次々と投げかけられ、その場で回答を求められます。これらの問いは決して難しいものではないのですが、概念を表面的になぞっただけではなかなか答えられないものです。結果、授業への準備として、各自が概念を掘り下げて考えざるを得ないため、自然とファイナンスの考え方が身についていきます。数式の表面をなぞるだけではなく、その背後にあるロジックをあらゆる角度からディスカッション形式で掘り下げていくというスタイルは、私にとって非常に新鮮でした。個人的には、1年目で最も学びの多い授業でした。

 

    The Firm in the Capital Market

 

企業価値評価の基礎を学ぶ授業です。この授業では基礎的な概念を講義した後、ケーススタディが課され、提出後に解説を行うというサイクルが繰り返されるのですが、講義とケースの接続が本当によくできています。例えば、講義ではWACCの考え方やMM定理について説明を受けるのですが、最初はやや抽象的な印象を受けます。しかし、それに続くケーススタディは、講義で扱った概念をすべて活用しないと解答できないように作られており、自分で手を動かしながら、学んだ概念をケースにどう適用するか、時間をかけて検証しなければなりません。結果として、講義を受けた段階ではやや抽象的だった概念が、レポートを提出するころには、自然と自分のものになっていきます。長年かけて細部まで構築された授業という印象で、ファイナンス専攻でない人にもぜひおすすめしたい授業です。

 

以上、Kelleyにおける専攻の概要とファイナンス専攻の必修2科目の内容をご紹介させていただきました。Kelleyというとマーケティングやアントレプレナーシップが有名だと思うのですが、ファイナンスにも魅力的な教授、授業が揃っていると思います。複数の専攻科目を組み合わせることも可能ですので、ぜひ学校選びの参考にしていただければと思います。