2022年2月24日木曜日

日本でのインターンシップ (就活編)

Class of 2023T.Oです。今回は私費MBA生である私が日本でのサマーインターンを獲得するまでの過程についてお話ししようかと思います。私は幸いにも複数の企業からオファーを頂くことができましたが、想像していたよりも選考過程はスケジュール、内容ともにハードであり、Kelleyの手厚いサポートなくしては内定を勝ち取ることは難しかったと思います。私費留学生にとってサマーインターンの獲得有無はその後のキャリアを左右する重要なポイントだと思いますので、少しでも私の体験談が参考になれば幸いです。

1.   インターン採用のタイムスケジュール(Boston Career Forum

MBA生が日本でインターンシップの機会を得るためには、基本的にBoston Career Forum(以下BCF)への参加が必要となります。以下が大まかなBCFのタイムスケジュールとなります。

a.  5月~7月:壮行会開催

MBA受験が一段落すると、すぐにMBA採用を行っている企業による壮行会という名の企業説明会が行われます。事業会社の場合は純粋な企業紹介のケースが多いのですが、投資銀行やコンサルティング企業などは壮行会が事実上の一次選考となっているケースも多く、MBA受験が終わってからすぐに面接対策を行う必要があります。

b.  8月~9月:BCF登録、個別企業へのエントリー

MBAプログラムが本格的に始まる時期と重なるタイミングでBCF経由での各企業へのエントリーが始まります。締め切りは各社異なりますが、インターンの採用は枠が埋まり次第終了するケースも多く、事業会社の場合はできるだけ8月末、遅くとも9月末までにレジュメの提出を済ませるとライバルに遅れることなく選考プロセスを進めることができると思います。

c.  10月~12月:面接~内定

書類選考を通過すると一次面接の案内が届きます。従来はボストンの会場で一斉に面接を行うというのが恒例でしたが、現在はコロナの影響もあり全てリモートにて選考が行われます。面接は日本語の場合もあれば英語の場合もあるので、前もって日英どちらでも対応できるよう準備をしておく必要があります。

私の場合、複数回の面接を経て11月上旬に内定通知(オファーレター)を受領しました。オファーレターには回答期限があり、複数社から内定を受領した場合には回答期限内にどの会社でインターンを行うかを判断する必要があります。

2. 米国MBA留学生が留意すべきポイント

自身の経験を踏まえて、私が思う米国MBA留学生が日本でサマーインターンを獲得するために気を付けるべきポイントは以下のような点ではないかと思います。

a.  MBAプログラム開始前から始まる怒涛の選考プロセス

壮行会は渡米前に開催され、BCFのエントリーはMBAプログラムが本格化する前から始まります。それはつまり、MBAで新たな学びや気づきを得る前に、「自分は卒業後に何がしたいのか」、「自身の強みは何か」といった面接で質問される観点について理解を深めておく必要があることを意味します。

加えてレジュメのアップデートや志望動機の作成等、エントリー後に必要な作業も多く、MBAプログラムと並行してエントリー企業とのやり取りを行うことはかなり負荷が大きかったです。

b.  容赦なく行われる英語面接

私のようにMBA受験のインタビューを丸暗記で何とか乗り越えた純ジャパからすると、企業との英語面接は非常にハードルが高かったです。

そもそも英語力の向上もMBAに期待する要素の一つと考えている中で、まだまだこちらでの生活にも慣れる前から英語で1時間前後のコミュニケーションを行うことは、MBAのインタビュー以上にかなりの事前準備が要求されます。

3. Kelleyのキャリアサポート

KelleyFinancial TimesMBA ranking 2022においてキャリアサポートで世界第4位に位置する等、世界トップクラスの評価を受けています。私がサマーインターンの選考過程を通じて感じたKelleyのキャリアサポートに関する強みとして以下のような特徴が挙げられると思います。

a.  各学生に担当のキャリアアドバイザーがアサインされている

KelleyにはGraduate Career Service (GCS)というMBA生のキャリアサポートを専門に行う組織があり、GCSのスタッフの中から各学生にキャリアアドバイザーがアサインされます。キャリアアドバイザーは学生一人一人のキャリアプランやスケジュールに応じて様々な相談に応じてくれます。特に日本の採用スケジュールはアメリカのスケジュールとは大きく異なっていることから、柔軟にこちらの相談事項に対応してくれるスタッフがいることは非常に頼りになりました。おそらく入学早々にレジュメの添削や模擬インタビューの依頼をしていた学生は私一人だったと思いますが、そのようなケースであっても非常に迅速かつ丁寧な対応を頂き本当に助かりました。特に模擬インタビューに関してはしつこいくらいに何度も練習をさせて頂き、細かな英語表現やジェスチャーに関する相談もさせて頂いたことで本番は緊張することなく面接に挑めたように思います。

b.  Academyにおける就活トレーニング

Kelleyでは毎週金曜日にAcademyと呼ばれる専門を同じくする学生が集まり自身の専門分野に関する学びを深めるアクティビティがあるのですが、このAcademyにおいても定期的にインターン就活に関するコンテンツが用意されており面接対策として非常に有効でした。

学生同士で模擬インタビューやエレベーターピッチの練習などを行うのですが、やはり志望する業界が同じ学生同士のため、何気ないやり取りやアドバイスからも自身のキャリアや強みや弱みに関する良い気付きを得ることができました。

私費留学生にとって卒業後の再就職という問題は志望校の選択や、そもそも留学すべきかどうかを判断する重要なポイントかと思いますが、日本人私費留学生の場合は特にキャリアサポートという観点を重視して学校選択をすべきではないかと私は思います。

世界的にMBAは将来の幹部候補ポジションを担う人材が取得すべき学位であるという共通の認識がある一方で、残念ながら日本においてはほとんどの企業や転職エージェントがその重要性について今一つ理解できていないという事実があります。実際に私は留学前に複数の転職エージェントと留学後の再就職について話をしてみましたが、現代のキャリア論からは大きく乖離した見解(「態々キャリアを中断する必要があるのか」「海外でMBAを取得したとしても英語力くらいしか評価はされない」等)を示すエージェントも多かったです。またMBA採用ではなく通常の中途採用枠でのインターンを募集している企業では給与水準も驚くほど低く、人事という側面においても日本はグローバルスタンダードから大きく後れを取っているということが現実かと思います。

このような状況下のなかMBA経由でグローバルなキャリアを志す際には、選択肢として「(1)外資系企業の日本法人にMBA採用で入社する」、「(2)海外就職」という二つの選択肢しか実質的に残されておらず、いずれも非常に狭き門であるかと思います。(1)に関しては今回お話したように、厳しいスケジュールの中でMBA採用を日本で行っている限られた企業のポストを世界中に留学している私費留学生と争わなければなりません。また、事業会社に限って言えば、職種はファイナンス若しくはマーケティングに限定されているケースがほとんどのため、そもそもいずれにも知見のない方は門前払いというケースもあり得ます。(2)に関しては言わずもがな国籍問わず世界中の学生と競争する必要があり、その厳しさは日本のインターンシップ採用の比ではありません。

以上を踏まえて私費でのMBA留学を検討されている方には留学前から卒業後のキャリアについて具体的なステップをイメージしたうえで、そのステップを実現するための手厚いサポートが最も期待できる学校に進学することをお勧めします。今回は日本のインターン採用についての経験をシェアさせて頂きましたが、今後も実際のインターンシップの様子や現地でのインターンについてもお話しできたらと思います。もちろん個別のご相談もいつでも大歓迎ですので、お気軽にご相談ください。