2023年3月9日木曜日

ビジネスアナリティクス専攻について

 Class of 2023Y.Y.です。今回は、近年人気が高まっているビジネスアナリティクス専攻についてお話をさせていただきたいと思います。ビジネスでのデータ活用が進む一方で、データ分析のスキルを身に着けた人材はまだまだ少なく、希少な存在といえます。そうした事情から、Kelleyでも経験者・未経験者を問わず、多くの学生がビジネスアナリティクス系の授業を履修しています。

 

    ビジネスアナリティクス専攻とは

当ブログでも何度かご説明しているとおり、Kelleyにはマーケティング、ファイナンス、マネジメント、アントレプレナーシップ、アカウンティング、サプライチェーンといった専攻領域が設定されており、学生は少なくともどれか一つを選択する必要があります。各領域には必修科目、および選択科目の必要単位数が定められており、それらを満たすことで卒業時にメジャーとして認められる仕組みです。同時に、各領域にはマイナー(副専攻)として認められるための条件も定められているのですが、マイナーの取得は卒業要件には含まれていません。通常はメジャー1つ、マイナー1つという形で卒業することが多いです。

ビジネスアナリティクスはそうした専攻領域の一つになります。簡単にいえば、データ分析に必要となる基本的な統計学・計量経済学の知識とPython, R, SQLといったデータ分析に必須のプログラミング言語を学ぶ領域だと思っていただければよいかと思います。あくまでもMBAの授業であるため、統計にせよプログラミングにせよ、技術面で深入りすることはありません。その代わりに、マーケティングやファイナンスといった各々が卒業後に進む分野で、いかにデータ分析を活用するかに焦点が当てられています。

こうした事情を反映して、ビジネスアナリティクスは、ほかの専攻と組み合わせて学ぶことを前提とした単位構成になっており、やや異色の領域といえます。具体的には、ビジネスアナリティクス専攻には、①マーケティングトラック、②ファイナンストラック、③サプライチェーンマネジメントトラック、という三つのトラックがあり、いずれか一つを選択します。それぞれのトラックで定められている科目は各々の専攻と重複しており、ビジネスアナリティクスの手法だけではなく、それを活用する領域についても深く学ぶことが前提とされているといえます。こうした特殊な単位構成であることから、ビジネスアナリティクスを専攻する人は、ほかの領域とともにダブルメジャーを選択する人が多いです。

 

    代表的な授業

以下ではビジネスアナリティクス専攻の代表的な授業について、簡単にご紹介いたします。

 

Intro to Spreadsheet Modeling

エクセルを使ったデータ分析を習得する授業で、最終的には簡単なモンテカルロシミュレーションを手早く組めることを目指します。内容は基礎的ですが、実際のビジネスの現場ではまだまだエクセルだけで分析を済ませてしまうパターンも多いので、幅広い方に役立つ授業だと思います。

 

Predictive Analytics/Data Mining

ビジネスデータを使った予測モデルの構築に焦点を当てた授業で、簡単な機械学習までカバーします。どちらかといえば、技術面よりも予測モデルを構築するための概念を理解することに重点が置かれています。

 

Predictive Analytics for Business Strategy I

いわゆる因果推定に焦点を当てた授業で、上記のPredictive Analysis/Data Miningと対をなしています。因果推定を行ううえで直面する内生性の問題を理解することに重点が置かれていますが、操作変数法、RDD、差の差分析、固定効果モデルといったアプローチとその問題点についても簡単ながら触れられます。分析にはStataが使用されます。

 

Enterprise Data Management

前半でデータベース管理の考え方とSQLについて、後半ではRとそのパッケージであるtidyverseを用いたデータ分析/ビジュアライゼーションについて学びます。Predictive Analyticsとは異なり、技術的な側面に重きを置いた授業です。

 

Business Analytics Programming

Pythonの授業です。前半ではPythonプログラミングの基礎、後半ではNumPy, Pandasを用いた簡単なデータ分析を行います。必修ではないのですが、データ解析に興味があり、かつプログラミングの経験がない/少ないという方にはおすすめの授業です。

 

以上、ビジネスアナリティクス系の授業について、代表的なものをいくつかご紹介させていただきました。Kelleyでは、ほかにもCloud-based AnalysisというAzure, Power Query, Power BIの授業やAI技術を学ぶ授業なども用意されています。冒頭でも申し上げたとおり、いずれもビジネスでの活用を前提としているので、内容は基礎的なものにとどまります。そのため、そこからどうスキルを高めていくかは、結局は自分次第です。ただ、ファイナンス、マーケティングという自分のコアとなる領域を確立させながら、ビジネスアナリティクス系の授業では統計やプログラミングを学習するきっかけをつくるというアプローチは、理にかなっていると考えます。例えば私の場合、職場や大学で使うのはもっぱらStataとRだったのですが、ビジネスアナリティクスの授業がきっかけでPythonも学習するようになりました。いずれにせよ、統計学やプログラミングの習得には膨大な時間がかかるので、まずは授業を履修して、最初のハードルを下げることが重要なように感じます。

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