2018年4月12日木曜日

MBAを終えて

こんにちはClass of 2018のY.Iです。時が経つのも早いもので、もう2年生の4月となってしまいました。日本に帰るまで残り1カ月を切って、卒業後の配属先等を会社と話す中で一気に現実感が増してきた、そんな状況です。
今回は、私の最後の投稿でもあり、まだ、”今年”は他の方が書いていないので、ある意味この時期の定番ネタとなっているMBAを振り返ってというネタを書きたいと思います。

1.2年前に考えていたこととそのギャップ
 Kelleyで何をやりたかったかは置いておいて、大きな視点でMBAに何を期待していたかというと、私の場合は大きく2つでした。一つは、「英語で物事を考え議論ができるようになること」。二つ目は、「経営に関する様々な知識を身につけて、ビジネスの現場で引き出しの多い人間になること」。
 一つ目については、よく言われることではありますがMBAは英語を学びにくる場ではありません。英語を上達させたかったら語学学校に通えばいいわけです。ただ、そうはいっても英語で授業を受け、英語でクラスメート等とコミュニケーションをとるわけですからそれなりに上達するだろうと思っていました。これは半分正解で半分は間違いでした。ReadingとListeningは確かに上達します。2年前と比べても読むスピード、聞き取り能力は確実に上がったと思います。
 一方で、SpeakingとWritingは上達した気がしません。確かに、2年前と比べてミーティング等での議論も格段に進歩したと思います。ただし、それは事前準備がうまくなった、早く考えをまとめられるようになった、簡単な単語で自分の意思を簡潔に表現できる術を身につけたという、主に運用面での改善であって本質的な英語の能力が伸びたかと言われると全くだと思います。TOEFLをやってた時の方がよっぽど伸びている実感がありました。MBAの授業を通じて得られることは、当たり前ですが経営に関する知識です。英語も上達したいと思っている人は、ダブルスクールをやる感覚でMBAの勉強以外に、語学も勉強として取り組んでいかないとダメだと途中から気が付きました。
 二つ目については、そんなに簡単に知識は身につかないということです。確かに、授業とテストで知識の定着を図ります。授業によっては外部の会社相手にコンサルティングなどをやって、実践を通じての知識の定着も図れるようになっています。しかし、あくまでこれは7週間だけです。7週間たったら、また、他の科目が始まり、前の授業の内容について振り返ったりはしません。もちろん、すべて忘れて空っぽになるというわけではありません。当然、授業でやった様々な考え方、フレームワーク、ファイナンスの知識など、MBAに来る前には知らなかったことを今ではたくさん知っています。ただし、じゃあ、これを今後のキャリアの中でどうやって活かしていくのか?と尋ねられたら、きっと言葉に詰まるでしょう。会社に戻っていろいろな課題に直面した時に、MBAの経験を活かしていろんなアイデアを出して解決に導けるかというとそんな自信はありません。MBAに来る前と同じように悩みながら、いろんな人の力を借りて進めていくんだと思います。
 じゃあ、この2年間は無駄なのかと考えると、それは今の時点ではわからないんだと思います。超有名なスティーブジョブズのスタンフォード大学でのスピーチのなかに、「connecting the dots.」というストーリーがあります。(知らない人はググってみてください。)私はこのストーリーが大好きで、まさにMBAの経験ってこんな感じかなと思っています。(退学したわけではありませんが)後から振り返ってみて、このMBAの2年間が何か意味あるものとしてつなぎ合わせることが出来たらいいと思っています。

2.自由な時間の使い方
 卒業間近になり、もう一つ考えることは自由な時間の使い方です。社費生で2年生MBAに来た場合、ある程度自由な時間が多くなります(もちろん最初の半年くらいは別ですが)。MBAは基本的にみんな会社を退職して、転職のためにきます。そのため、少し語弊があるかもしれませんが、インターンシップや転職活動と並行してもちゃんと授業や課題は終わるようになっています。大学側も就職率やどんな会社に就職したかは重要ですので、何が何でも勉強優先という雰囲気にもなりません。ということは、とても時間がとられるこれらの活動をしなくていい社費生は、他の学生と比べて必然的に時間ができます。
 今振り返って思うのが、この自由な時間の使い方で社費生のMBAは人それぞれのカラーが出るなということです。そして、恐らくその人のMBAの2年間の満足度にもものすごく関係してくると思います。自由な時間というのは、ケースコンペにたくさん出るとかMBAプログラムの授業以外のアクティビティも含めてです。
 私はグローベスに行けなかったことは少し残念ですが、ワシントンキャンパス、ヨーロッパへの短期留学など行きたいと思っていたプログラムにも参加でき、遊びの方でもクラスメートとのサッカーや麻雀、飲み会、息子との時間などブルーミントンに来る前に想像していた地方の大学町での学生生活を満喫できたように思います。

3.最後に
 最後にちょっと今の自分が抱えている問題提起を。
 私と同じ時期にシンガポールNUSのMSBAに留学した友人がいます。いわゆるデータサイエンティストを養成する大学院ですが、同時に同じ大学のMBAと協同してFinance/Accounting/Marketingなどのビジネスの科目も学ぶそうです。つまり、データ分析の専門家が経営の知識も身につけるということですね。私が考えていることは、MBAのキャリアって今後、どんどんこういう専門知識+経営の知識という人材とバッティングしてくるではないかということです。そして、彼らとの競争になった時に、我々が示せる優位性はどこにあるのでしょうか?

今年、MBAに来られる皆さんは、キャリアを一時的にストップさせてまで作った2年間という貴重な時間を有意義に過ごしてください。