2018年10月21日日曜日

GLOBASE China

Class of 2019K.I.です。大変遅ればせながらではありますが、今回は今年の春学期に履修したGLOBASEの経験についてシェアさせてください。
GLOBASE(グローベース)は、発展途上国の企業・団体を対象に、MBAの学生によるコンサルティングを行うプログラムです。Kelleyが提供するハンズオンプログラムには各種ありますが、GLOBASEは特に他国の比較的規模の小さいクライアントを対象に、課題解決のお手伝いをするというものです。詳しくはKelleyのホームページを御覧ください。

GLOBASE China




GLOBASEの中でもChinaは今年から初めて開設されたプログラムで、私達のクラスが第1期生となりました。私の所属するStrategic Finance AcademyDirectorであるJoeDirectorを務めています。私はこれまで中国を旅行含め訪れたことはありませんでしたが、中国の中でも、雲南省という比較的発展途上の地域で事業を営む企業・団体を対象にしており、今後世界ナンバーワンの経済大国になっていくであろう中国の成長のスピードを体感したく選択しました。


プロジェクト概要

私のチームは、コンサルティング対象企業として、雲南省大理市で営業するホテルチェーン、「ヒルトン大理支店」を選択しました。クライアントのカウンターパートはホテルのマーケティングチームで12月から2月にかけて電話会議を通じてコミュニケーションを取り始め、要望や課題を聞き取っていきました。
私のチームはKelley MBAの生徒4名、そしてSPEA(公共政策大学院)の生徒1名で構成されていました。SPEAの学生は中国の出身で、クライアントとのやりとりでも中心的な役割を果たしてもらいました。カウンターパートのマーケティングマネジャーが不在の場合、英語を話せる担当の方がおらず、テレビ会議やミーティングでは彼女におんぶにだっこでした。
プロジェクトの課題として与えられたのは、「中国のオンライン旅行サイト「Ctrip」(TripadvisorExpedia等の類似ウェブサイト)における顧客レビューを5つ星に近づけるにはどうすればよいか」について提案を行うというものでした。シンプルな課題のようでいて、何にフォーカスすべきかを判断するのが難しい課題でした。ホテルのサービスを向上・維持すると同時に、宿泊客にいかにアプローチして5つ星のレビューを書いてもらうかが鍵であると捉えました。
まず私のチームでは、現在のレビューにおいて1つ星や2つ星のレビューを書いた顧客がどのような要因で批判的なレビューを書いたのかについて、顧客から提供された顧客管理システムのデータをもとに分析していきました。データに目を通す中で分かってきたのは、ホテルでの滞在には満足しているにもかかわらず、なんの理由も無く星3つまたは4つのレビューを残す顧客がとても多いことでした。これらの洞察を踏まえ、初動時点での我々の提案の方向性としては、「サービスを向上して悪いレビューを少なくし、満足度の高い顧客にアプローチして5つ星レビューを増やす」というものになっていきました。

コミュニケーションの障壁

我々が直面したこのプロジェクトにおける障壁は、顧客とのコミュニケーションでした。12月にプロジェクトのキックオフを行った際、2月の中国訪問にかけて毎週ビデオ会議をすることをクライアントと確認したのですが、1月中旬から業務多忙を理由に全く連絡が取れない状態となってしまいました。結果、クライアントから情報や意見を得ることが難しくなったため、自分たちで様々な仮説を立て、提案を練らなくてはならなくなりました。
チーム内で検討した結果、クライアントへの提案については最も宿泊客からの苦情が多いサービスの向上をまずは提案し、残りの提案については現地で考えることになりました。チームだけで仮説を考え提案を練るという作業はあまり効果的な策を考案できるようなものではなく、クライアントからのフィードバックなしには提案が現実とかけ離れたものになりかねないからです。現地に行くまでに、複数の教授や中国人同級生、ホテル業界出身の同級生にアドバイスを求めることで少しでも現実的な提案を持っていけるように努めました。

現地での体験

3月、実際に中国に赴き、1週間現地を訪問しました。現地にて約2ヶ月ぶりにクライアントとのディスカッションを行ったところ、これまで取り組んできた課題とは別に、新たに「従業員のモチベーション向上」そして「宿泊客からの苦情への対応の最適化」という2つの課題を与えられることになりました。現地滞在は1週間であり、時間の制約がある中、新たな課題を分析し解決策を考案するのはかなり取り組み甲斐のあるものでした。しかし、現地で顧客からの要求が増えたことで、チーム内に顧客に対して苛立ちを隠さない者も出てくるなど、チームワーク面でも課題が出てくることになってしまいました。
限りある時間のなかで作る我々の提案が上辺をなぞっただけのものとならないよう、同行したJoeにフィードバックを求め、提案の実現に至るまでの具体的なステップや費用概算を示すことで、クライアントが実際に行動に移せるような提案を作ることを心がけました。例えば「従業員のモチベーション向上」については、「従業員は個人としての表彰よりもチームとしての表彰を与えられた方がパフォーマンスが向上する」という学術調査の結果を示しながら、ホテル内でチームへの表彰制度を用意してはどうかという提案を行い、提案実行に至るまでの具体的なステップを練りました。
クライアントも業務多忙な中、滞在中は毎日1時間のミーティングに付き合ってくれ、我々の意見に対し建設的なフィードバックをもらうことができました。(これを2ヶ月前から電話会議でできていれば・・・!という気持ちがなかったとは言えません)
最終日、我々の提案をホテルの支店長にプレゼンした結果、想像以上に高い評価を得ることが出来ました。支店長からは、来週の幹部ミーティングで早速実行に移すかどうかの意思決定をするとの言葉をいただくことができ、これまでの努力が報われたという達成感を得ることができました。


GLOBASEでの学び

チームへの貢献

私は昨年のコアで、当初はチームでのディスカッションにうまく入っていけなかったり、意見はあるのにうまく英語で表現できないなど、とても歯がゆい経験をしました。GLOBASEはコアの直後に始まったこともあり、コアでの反省を踏まえて積極的にディスカッションに参加し、事前準備をしっかりして意見を表現するように努めました。一方、やはりディスカッションが加熱してくると飛び込んでいくのが難しくなり、アメリカ人の学生にゴリ押しされて結論を導かれてしまうこともありました。
そんな中、チームメンバーの一人(アメリカ人)が、私や中国人のメンバーが議論に入って行けず半ば傍観したような様子でいるときは声をかけてくれ、「君の意見を聞かせてくれ」と投げかけてくれたことが非常に助かりました。彼はとても朗らかでオープンな性格の持ち主で、私の雑談にもとても興味を持って接してくれるような人物でした。彼のこうした行動は彼自身の性格によって自然発生したものなのかもしれません。しかし、彼のこうした行動は、自分の意見をどうにかして言おうということに夢中であった私自身の姿勢に気づかせてくれ、「果たして彼のように他のチームメンバーの言うことに耳を傾け、意見を吸い上げようとする努力をこれまでしてきただろうか?」という疑問を自分に投げかけるきっかけになりました。

日本でグループワークをする際には当たり前にできていたであろうことが、異なる言語、異なる文化になった途端に難しくなるものだなあと実感し、また周りを見ることができていなかった自分を反省しました。チームでの経験というのは、チームメンバーに大いに左右されるものですが、彼のようにどんなチームにいても自分らしさを忘れず、かつメンバーへの配慮も忘れない姿勢というのはチームにとって大きな資産であると学びました。

 中国のスピード感


クライアントと接する中で、中国のスピード感を感じる場面が多々ありました。前述のとおり、我々の提案について即座に支店長が幹部会議にかけることを判断している姿には驚きましが、さらに驚いたことがありました。最終プレゼン後に幹部の皆さんと一緒にランチを摂りながら歓談している際、我々のチームメイトがインターンシップ先を探していることがわかるとすぐに人事の責任者を電話で呼びつけ、その場で面接が始まってしまいました。さっきまでカニを頬張っていたチームメンバーが真面目な顔をして面接に応じているその切替えの速さにも驚きましたが、すごいスピードで物事が進んでいくことに半ばついていけませんでした。 
支店長はとてもパッションに溢れた女性の方なのですが、過去5年ですでに3回ヘッドハンティングで中国含めアジアのホテルを移り歩きキャリアアップされているとのことで、今も毎週のようにヘッドハンティングの電話がかかってくるそうです。高級ホテル業界が中国で成長していることの証なのでしょうが、私にとってはその成長ポテンシャルやスピードが目まぐるしく、かつ羨ましく感じられました。 

 おわりに

GLOBASEは、海外のクライアントを相手に、情報やコミュニケーションに不確実性がある中でチームワークを行うという、Kelleyのハンズオン・プログラムの中でも目玉の授業だと思います。将来異国のクライアントを相手にビジネスをしたいという方はもちろん、チームメンバーとしての自分を成長させたいという方にも学びの多い機会です。Kelleyをご志望の方にとっても、Why Kelley?のひとつになりうるものでは無いかなと思います。

ご興味のある方はこのブログの過去のポストも参考にされてください。(検索バーからGLOBASEで検索してみてください。)


負荷の高い授業でしたが、学びも多く、チームメンバーとも楽しい時間を過ごすことができました。


以上、長いポストになってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

2018年10月1日月曜日

1年目に感じた課題と2年目への展望

こんにちは、Class of 2019のY.Mです。長い夏休みが終わり、MBA2年目が始まりました。と思ったら、もうFall Semester の1st 7 weekのFinal Examを来週に控えています。(KelleyではSemesterが更に7週ずつで2つに分けられています。)
2年目に向けて(もう始まっていますが、、)、かなり個人的な内容ですが、1年目に感じた課題と2年目への展望を今回は書かせて頂きます!

・やはり感じる英語の壁!! - 1年目 Fall Semester

MBAを始めて、まず初めに感じたのは英語の壁(恐らく、ほとんどの方がそうだと思いますが)。ただでさえ、なかなか聞き取りにくい英語。更に、Kelleyの30~40%程度は、International(大半がインド人)なので、訛りが加わって、何を言っているのか良く分からない。。特に、Coreの初めの頃にチームメートとのインド人と電話で話した時は、絶望でした。全く何を言ってくるのか分からないので、メールで用件を送ってくれと伝えました。笑
ただ、時間を経つと訛りにも少しずつ慣れてきます。英語力が上がるわけではないと思うのですが、自分の低い英語力で生き抜く術を学んでいきます。どうすれば、自分の知っている語彙で簡単に相手に伝えられるか?やどういう事前準備をすれば、グループワークで言いたいことを伝えられるか?など。
ただ、英語力は恐らくずっとついてくる壁なのかなとも感じています。先日もグループワークで私+中国人とアメリカ人2名で意見が割れた際に、結局アメリカ人に上手く言いくるめられてしまいました。私よりも100倍英語が出来る中国人が、「母国語じゃないから上手く細かい機微を伝えられない」と嘆いていました。あなたでそんなことを言うのなら、私はどうしたらいいのでしょうか。残りの1年間、卒業後も英語はコツコツ頑張りたいと思います。

・Team Contributionって何? -1年目 Spring Semester

Integrated Coreが終わると、Electiveの授業、 Academy Project(企業向けのプロジェクト)、GLOBASE(新興国の企業やNGO向けのコンサル)などでグループワークの機会がどんどん増えていきます。それぞれのプロジェクトで違うメンバーとチームを組むのですが、「ん?自分はこのチームに本当に貢献出来ているの?」と感じることが多々ありました。
個人的な考えですが、教育制度の為か、会社の人材育成の方針の為か、日本人は何でもある程度は出来ると思います。(私は、決して出来る人間では無いのですが、)パワポやエクセルといった基本的なパソコン操作もある程度出来ますし、一般的な会計や数学や経営知識などもあるのではないかと思います。なので、私もチームに欠けている力を見つけて、自分がチームに出来ることを探すことにより、何とかチームの中で自分の居場所を見つけていました。Academy Projectでは、全員が不得意だったのでパワポを担当したり、Globaseではファイナンス知識を持っている人がいなかったので簡易なFinancial Modelを作ったりとそれぞれのチームに合わせて何か貢献出来そうな点を見つけていました。
ただ、圧倒的なパソコンの知識を持って、コードを組んでデータを分析したり、Financeの知識を駆使して、Clientの企業も驚くようなFinancial Modelを作ったりしているチームメイトを見て「ん?自分には何か尖った強みが欲しい!」「穴埋めじゃなくて、強みを活かして、チームに貢献出来る様になりたい!」と思うようになりました。
そこで、社費派遣の特権?である夏休みを活かして、US-CPAの勉強を始めました。同級生にはCPAも多くいるので、あまり尖った強みでは無いのですが、Kelleyで学ぶことにプラスした知識を持つことによって、グループワークでももう少し貢献出来る様になるのではないかなと感じています。ただ、夏休みに予定していた計画通り進まなかったので、焦りを感じています。笑

1年目に感じたことを忘れずにMBA 2年目も有意義に過ごしたいと思います!ただ、いまは来週のFinalを乗り越えることが、最大の壁です!

朝9時頃の校舎前。朝晩は寒くなりました。