2015年12月29日火曜日

MBAで提供される授業について

こんにちは、Class of 2016のS.M.です。年末年始となりましたが、出願を準備されている受験生の方は忙しくされていることかと思います。世間が冬休みとなる中で頑張るのは大変かとは思うのですが、まとまった時間は貴重ですので納得の行く結果が得られるよう有効に使われて下さい。

さて、今回はこれまでKelleyで受けてきた授業を振り返って、授業の評価軸を色々挙げつつ、思うところを書くことにします。ビジネススクールの授業というと、ケースメソッドを取り上げて紹介されることが多いようです。確かに、ケースメソッドは日本の大学ではあまり経験することのない教え方ですし、アメリカ的な教育という意味で注目されるのは当然です。しかしながら、実際にはMBAといっても様々なタイプの授業があります。そこで、この記事では授業の評価軸を紹介することで、そもそもMBAの授業で何を、どのように、学びたいのだろう、と考えるときのご参考になればと思っています。
(なお、記事内容はあくまでS. M.の個人的な考え方です。)

レクチャーとケース

まず、形式でクラスを分類するとレクチャーとケースということができるかと思います。実際には、レクチャーだけで完結するクラスもあれば、レクチャーとケースが半々のクラス、そして毎回がケースになるクラスもあります。また、授業はレクチャーでもアサイメントがケースを、それを読んで分析してミニレポートを提出、というのも良くあるパターンです。

レクチャーであれば、教授がパワーポイントのデッキを使って授業を進めることが大半で、学生はノートやPCでメモを取るので普通に日本の大学で受ける座学の講義と大きな違いはありません。レクチャーのクラスのメリットとは、教授が事前に用意した資料に基づいて授業が進行していくため、体系だった知識を短時間で身に着けられる点でしょう。ビジネススクールで学ぶ知識やスキル自体は、書籍や論文に書かれているものも多いわけですが、教授の視点で大量の知識を分かりやすくまとめて意味づけして教えてくれるところにレクチャーのクラスの存在意義があるでしょう。

一方で、ケースの授業では事前にケースを読み込んで事実関係を把握し、さらにある程度の分析をして考えをまとめておく必要があります。そして、教授が授業を進行していくので、授業には大きな流れはあるわけですが、学生個人の経験に基づいた発言が議論を深めるところが醍醐味です。大抵の場合、ケースで取り上げられる課題には単純な解決策はなく何か解決策があったとしても利点・欠点のどちらもあるので、ケースの授業の学びとしては、課題が複雑であり、解決方法も一筋縄ではいかないが、少なくともこう考えれば解決の方向は分かるというものが多いです。そのため、予習や授業に時間がかかる割には、“では、具体的にどうするのか”といった明確なテイクアウェイがない場合があるのがデメリットになります。

クラスによって扱うケースは全く違いますが、KelleyではHarvardのケースを使うことが多く、トピックとしてはアメリカの大企業の課題を扱うことが多いです。企業の有名どころではGE(金融・製造)、Starbucks(飲食)、Eli Lily(製薬)、Amazon(サービス)、Gillett(日用品)、PepsiCo(飲料)といった企業のケースが取り上げられていました。アメリカ以外では、Arauco(チリの製紙)、Compartamos Banco(メキシコのマイクロファイナンス)、Nintendo(言わずと知れた日本企業!)などケースが印象深かったです。

クラスの構成

1年生の前半のコアの間はおおよそ60人という比較的大人数のクラスですべての授業を受けるので、個々の学生が発言できる機会というのはかなり限られたものになってしまいます。とはいえ、コアの教授陣は手慣れたもので、教室の右端で話しながら左端に座っている学生をコールドコールするなど、学生の集中力を切らさない手法はさすが、というところです。また、コアの間のクラスメートは固定されているため、MBAが始まってしばらくすると「あいつはこういう発言するよな~」というキャラが立ってくるのが面白いものです。

一方で、1年生の後半から始まるエレクティブではクラスの人数は学生の構成もかなり変わってきます。人数の少ないクラスでは15人、多いクラスでは40人程度となるので、ケースの授業で15人となるとかなり発言の機会が増えますし、40人のレクチャーの授業となるとどちらかというと受け身になってしまうため、選ぶクラスによって得られる経験も変わってきます。また、エレクティブではfull-time MBAだけでなく、交換留学生やAccounting専攻の大学院生が同じクラスを取ることもあるため、グループ課題ではコアでは知らなかった学生と知り合う機会が得られます。

インプットとアウトプット

ビジネススクールの授業の多くは、ある程度の予習を求められるものが多く、特にケースの授業では、授業の時間はアウトプットが主になります。授業中に何かを読んだり作業したりするのではなく、予習の段階でまとめたメモ書きやマークしたリーディングの文書を手元に議論に参加することが求められます。レクチャーのクラスであっても、事前のリーディングは理解していることが前提で話が進んでいくことが多くなります。また、事前に出された課題を提出し、その後にその課題についての授業というパターンも多く、授業の位置づけはアウトプット寄りが多いです。授業のうち何回かがプレゼンテーションに当てられるクラスもあり、ケースベースの課題をスライドにまとめて発表し、Q&Aを行うため、英語でのアウトプットの良い練習になります。

コンセプト重視とスキル重視

ストラテジーやエコノミクスなどの授業では、どちらかというとコンセプト重視になりがちですし、ビジネスアナリティクスやアカウンティングの授業ではスキル重視になりがちです。いわゆるMBAっぽい授業はコンセプト重視なのですが、Kelleyではコンセプト重視のものとスキル重視の授業がバランスよく提供されています。

例えば、同じマーケティング専攻に分類される授業であっても、コンセプト重視な授業では、そもそもブランドとは何か、競合がいるときに価格はどのように設定すべきか、といった議論を進めていくのに対して、スキル重視な授業では、顧客の購買行動に関するサンプルデータを使って、モデルに当てはめて分析する作業をエクセルや統計ソフトを使って行っていきます。また、ソフトの基礎的な使い方や統計手法そのものについて学ぶ授業も用意されています。
インターンや就職の直後で“使える”のは多くの場合スキルになるのですが、特定のソフトに関わるスキルは陳腐化が避けられません。一方でコンセプトはロングタームのキャリアで活かせる可能性がありますので、各自、キャリアゴールに合わせてコンセプトとスキルをバランスよく習得しているようです。

まとめ

色々と書いていると長くなってしまったのですが、MBAと一口にいっても、様々なタイプの授業があり、それによって学べることもかなり変わってくるということが伝われば何よりです。そして、受験プロセスの中で、そもそも自分がMBAに何を期待しているのか、それを実現するには、授業を通してならば、どのような体験をすれば良いのだろうか、ということを考えていただければ、実際に留学されたときに、より実り多い留学体験をできるのではないかと思います。

実際にKelleyで提供されている授業の内容はMBAの公式ページで紹介されていますので、ぜひご覧になってください(BUS-K 507など科目名へのリンクから授業内容の概要が見られます)。また、受講しての感想など内容を詳しく知りたい場合は在校生までお問合せください。

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