2013年7月14日日曜日

ドイツ=ケルン大学のサマースクール

こんにちは。Class of 2014N.K.です。

今回は、私が夏休みを利用して参加した独ケルン大学の
CISP (Cologne Intensive Study Program in European Management) というサマースクールについて投稿させていただきたいと思います。


背景:


私の派遣元企業では、留学期間は
18ヶ月というルールがあり卒業に必要な単位を前倒しで取得するためにはサマーコースに参加して単位をKelleyに振替する必要があったというのがまず第一の理由にはなるのですが、本音を言えば純粋に欧州のビジネススクールでも勉強してみたかったというのもありました。 EU圏の拡大や統一通貨の導入など様々な政治・経済統合の過程を辿り、欧州内におけるヒト・モノ・カネ・資本の自由化の動きが活発化している中、欧州における経営手法・市場特性・企業文化などについて、日本やアメリカとの比較をしつつ理解を深めたいという動機もあり、派遣元企業と交渉の末にケルン大学へのサマースクール行きを承認してもらうことができました。

Kelleyのサマースクールは、中国 (北京大学) 、イスラエル (テルアビブ大学) 、オーストリア (ウィーン大学) 、デンマーク (コペンハーゲン大学) など、様々な国のコースが用意されています。プログラムの期間 によって取得可能単位が決まっていて、2週間のプログラムで3単位、4週間で6単位が相場となっています。Kelley1つの授業が1.5単位ですのでこれは結構大きいです。基本的には授業料も免除なので、社費派遣かつ夏にインターンを行う予定のない方でアメリカ以外の国で勉強をしてみたいという方には利用する価値の大きいプログラムだと思います。
もちろん、サマースクール以外でも通常のセメスター期間中に海外の提携校へ交換留学するプログラムもあります。去年は2名の方が上海とパリの大学に交換留学に行かれていますのでそちらのブログも参照してみてください。



プログラム概要:

CISPは、4週間で130時間のカリキュラム (授業・企業訪問・ビジネスプロジェクト)をこなし、最終試験にパスすることで、Kelleyの単位として6単位分の振替が認められる仕組みとなっています。

具体的には下記4つのコースをこなします。

1:
Intercultural Management Applied to International Business Issues
国際ビジネスの現場において表れる文化的思想や慣習の違いを認識し、それらが組織構造やマネジメントプラクティスにどのように影響を与えるかを掘り下げて学習しました。4
-Dimensionsというフレームワークを用いて、異文化間ビジネスにおける諸問題とその対処策をケース・ディスカッションを中心に学習しました。4Dフレームワークは、世界各国のPower DistanceSocial OrientationRisk Taking AttitudeGender attitude4つを計数化し、それぞれの国がどういったビジネスプラクティスを好む傾向にあるのかを判断するツールになります。一元的に捉えがちだった西欧の国でも、英独仏ではかなり異なる意思決定のアプローチや組織に対する価値観を持ち合わせていることが数字の面から理解できましたし、今まであまりビジネス上の接点がなかった国 (中近東、東南アジアなど) の人達の傾向というものも把握でき、将来マネージャーとして海外現地法人に赴任する際や、多国籍なメンバーをまとめあげプロジェクトを遂行する上で重要なソフトスキルの向上に役立つコースだったと思います。

2:The Euro and European Monetary Policy
統一通貨ユーロと欧州中央銀行の 金融政策についてのレクチャーと、フランクフルトにある欧州中央銀行・ドイツ連邦銀行への訪問で構成されているコースです。「ユーロ導入に至るまでの約30年にわたる
EC/EUの通貨協力・通貨統合の歴史」、「1999年のユーロ採択以後の実績 (ユーロ圏の経済統合の進展、物価の安定、基軸通貨化)」、「欧州中央銀行による金融政策とユーロシステムの役割・弱点」、「2007年以降の世界金融危機の中で、ユーロがどのような問題に直面し、どのような役割を果たしたのか」、「今後ユーロがどうあるべきか」といったトピックを学びました。ユーロの歴史から最新のECBのトピックまで包括的に学べ、大変意義のある授業でした。

ドイツ連邦銀行、欧州中央銀行、ドイツ証券取引所などをビジット


3:Intelligent Branding for Diverse Consumer Markets
欧州コンシューマー市場におけるブランディング戦略についてのレクチャーと、ドュッセルドルフの
Henkel本社への訪問で構成されているコースです。
HenkelNestleP&GなどのFMCG (Fast Moving Consumer Goods) 系企業の話がメインでした。あえて厳しい評価をすると、Marketingが有名なKelleyの授業と比較するとやや物足りない感じがしました。もう少し欧州市場の特性など欧州スペシフィックなトピックについて学びたかったというのが本音です。この点については、授業後のフィードバックでも数名の生徒から挙がっていたポイントなので、今後改善される可能性が大きいかと思います。このコースの面白かった点は、最終試験がOral Exam (口述試験) だったことでしょうか。Oral Examはドイツの学校では一般的な試験のやり方だそうです。事前にP&Gのケースが配布され、試験当日に生徒31組で教授の待つ教室に入り、教授が1人ずつ交互に違った質問を投げていき、生徒がそれに回答していくというルーチンを30分ほどかけて行います。実際はクラスでディスカッションした内容に基づく質問が殆どでしたので無事に切り抜けられましたが、とても面白かったです。これも少人数のサマースクールならではの経験ではないでしょうか。


4:Business Project with Deutsche Post DHL

国際宅配便・運輸・ロジスティクスサービスを扱う世界最大の国際物流会社であるドイツの
DHL社へのビジネスプロジェクトを行いました。プログラムの初日 (DHLからの依頼内容の確認) と最終日 (プレゼン) DHLの本社があるボンを訪れました。DHLからの依頼内容としては、彼らの戦略市場であるブラジル・アフリカ西部・ロシアの3市場において、DHLがサプライチェーンチャネルを構築・発展させていくために、彼らのクライアントである多国籍企業が直面する問題点とそれ対する解決策を提示して欲しいというものでした。16名のクラスメイトを3つのチームに振り分けた結果、私はロシアのプロジェクトにアサインされました。さっそく派遣元企業のロシア現地法人のロジ担当者の方とテレコンをセットアップしVOMを収集したり、大学のデータベースから参考文献にアクセスして読み込みを行うなど、1ヶ月という短期間で最終提案までまとめあげる作業はなかなかやり甲斐がありました。

DHL本社があるボンにて最終報告



今回のプログラムにおける
Takeaways

1:一生モノのネットワークづくり


これが最も大きな収穫だと思います。プログラムには世界各国のビジネススクールから合計
16名の生徒が集まりました。メンバーの国籍も、アルゼンチン、チリ、シンガポール、中国、台湾、カナダ、アメリカ、ドイツ、イスラエル、キプロス、ポーランドと非常に多彩です。彼らとは、1ヶ月の間でON/OFF問わずに濃厚な付き合いができ、私も親友と呼べる仲間を新たに何人も作ることができました。最後のFarewell Partyではみんなで涙ぐむくらいでしたので、本当に素晴らしいネットワークづくりが出来たと思います。
またケルン大学には、留学生1人に対してケルン大学のドイツ人学生がアシスタントとしてついてくれるBuddyシステムが用意されています。Buddyにはケルン市街を案内してもらったり、美味しいドイツ料理屋にビールを一緒に飲みに行ったりでき、現地の学生とも直接交流する機会があったことも良かったと思います。

Kelleyとは別の素晴らしいネットワークを築くことができました



2:欧州ビジネススクールならではの経験


欧州の企業へのコンサルプロジェクト、欧州金融機関への訪問、ユーロと欧州中央銀行の金融政策のコースなど、欧州ならではのトピックを学べたことは、
Kelleyではできない経験だったと思います。また、ドメスティックの学生が7割を占めるアメリカのビジネススクールとは異なり、欧州ビジネススクールにおけるDiversityに富んだ国際色豊かな学術環境は非常に魅力的ですし、教授自身も英語が母国語でないため彼らの話す英語も分かりやすくディスカッションにも参加しやすかった点は良かったと思います。

3:サマースクールならではの経験
 Kelleyでは最初のCore Programを経験することによって、学生はある程度おなじレベルの知識を得ることができるので、その後のチームアサインメントなどを取り組む際にはお互いがどのようなスキルセットを持っているかは言わずとも分かります。しかし今回のサマースクールでは、Full-time MBAの学生だけでなく、フルタイムの仕事を続けながらパートタイムMBAに通い今回長期休暇を取ってこのプログラムに参加している人やファイナンスのマスターコースからの参加者などもいますので、各々のバックグラウンドやコースに対する期待値が本当にバラバラでした。そのような環境下でのディスカッションやコンサルプロジェクトなどは、チャレンジングでもありましたが面白くもありました。
また、ケルンのベストシーズンとも言われている6月は大変過ごしやすい季節で、クラスメイト全員がドイツでの1ヶ月の夏を満喫 (?) しようと勉強だけでなく遊びも一生懸命頑張りますので、非常に充実した放課後や週末が過ごせたと思います。私もクラスメイトと週末にアムステルダムや世界遺産のライン川渓谷へクルーズに出かけたり、学内イベントの10kmマラソンに参加したり、放課後は現地の学生と公園でBBQをしたりクラブへ繰り出したり・・・と欧州の文化に触れながら本当に多くの思い出を作ることが出来ました。

10kmマラソンに参加 (上)
みんなでアムステルダムへ週末小旅行 (下)




結論:

CISPでの経験は、私にとって間違いなくOne of the Best Memoriesになりました。ケルン大学の事務局の方も非常に熱心で、毎年プログラムの改定などを行っているようですので今後もQualityの高いプログラムが期待できるのではないかと思っています。興味のある方は是非参加してみてください。

それでは皆様も体調管理に気をつけながら、良い夏をお過ごしください。



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