2012年6月30日土曜日

Change @ Washington


こんにちは。Class of 2013S.Mです。さて、現在は夏休み真っ盛りの我々ですが、私は5月中旬にKelleyの特別プログラムである「Washington Campus Program(以下、ワシントンプログラム)」に参加してきましたので、今日はその内容の一部をご紹介したいと思います。

ワシントンプログラムは全米のMBA17校を対象とし、米国の政治や政策の仕組みをゲストスピーカの講演だけでなく、議会等へ実際に訪問することで体系的に学ぶものです。1週間という短い期間ながら卒業単位としても認定されるプログラムなので、月曜から金曜の朝から晩まで盛りだくさんの内容でした。その中でも特に印象深かったのは以下の3点です。

1. アメリカにおけるロビイストの存在の大きさ
皆さんはロビイスト、あるいはロビー活動という言葉を耳にされたことはありますか?私は仕事柄、聞いたことはありましたが、日本においてはロビー活動自体が一般的に良い印象がなく、ロビイストの存在も表立ってはいないと感じていました。ところがアメリカの企業にとっては、いかにロビイストを活用し、自社に関連する政府組織等と人的ネットワークを構築し、有効な政策の策定につなげるかがビジネス成功のカギとなっています。また、企業はロビー活動に費やした金額を公表することが義務付けられており、例えばアメリカ大手の通信会社であるAT&T社は2011年度に$2,000万以上もロビー活動に費やしています。企業が日本以上に政府機関とのネットワークを重要視している(コネの世界)ことがとても驚きでした。また、ゲストスピーカはハーバード卒のいかにも超エリートという感じの方でしたが、冗談交じりに裏事情を色々と話してくれて面白かったです。

2. アメリカは50個の異なる州からなる合衆国
これは一見当たり前のように思われることかもしれません。ただ、アメリカと聞くと、一つの超大国というイメージを持たれる方が多いかと思いますが(これはこれで正しいのでしょうが)、本プログラムを通じて、アメリカは合衆国なんだと認識を新たにしました。実際、ゲストスピーカの方も、話の節々で、「〇〇州の人は何人くらいいますか?」「〇〇州ではこうだと思いますが・・・」等、州の違いを強く意識していました。また、上院の討論会を見学した際に、発言者が「△△州の××ですが、」と州を冒頭につけたり、時には「△△州さん、どう思われますか?」と相手のことを州名で読んだりしていました。上院は各州から2名ずつ(計100名)選出されるので、各議員は州の代表という意識が特に強いのでしょう。アメリカは人種のるつぼで多様な国と言われますが、州がアメリカの多様性に与える影響も極めて大きいのだと改めて感じました。

3. アメリカの学生による連邦政府の評価の低さ
本プログラムの初めに、各生徒が自己紹介も兼ねて連邦政府に対する評価を述べる機会がありました。私は、アメリカ人は政治に関心のある人が多く、政府も民意をある程度反映しているであろうと勝手なイメージを抱いていたので、多くの学生が政府に対して高い評価なのだろうと思っていました。ところがふたを開けてびっくり、約60人のアメリカ人の学生のうち、実に9割以上がC以下の評価(落第点)をつけていました。理由は様々で、一例を挙げると「政治システムが複雑すぎて透明性に欠ける」、「政府と仕事をしたことがあるがお役所的過ぎる」、「この国のヘルスケアシステムは最悪だ」等、どこかの国でも同じことが聞こえてきそうなものばかりでした。実際に本プログラムを通じて、細かいシステムを学べば学ぶほど複雑で難解であるということがよく分かりました。特にヘルスケアシステムは、実際に病院に通った際に保険会社の対応の悪さを体感し、アメリカの最大の課題である理由が頷けました。

以上、3点挙げましたが、この他にもアメリカの税制度や、エネルギー問題等興味深いトピックが目白押しでした。一番すごいと思ったのは、全部で20人近くの講演を聞きましたが、一つも退屈するものがなかったということです。さすが、ワシントンで生きる人たちだけあって、情熱かつユーモアを交えた軽妙なトークが冴えわたっていました。トーストマスターズ(弁論クラブ)に所属する私としては、見習うべきところばかりの一週間でした。

Kelleyでは普段の授業以外にも、ワシントンプログラムのようなExtra programも豊富にあるので、自分次第でいくらでも見分を広めることができると思います。皆さんも、もしご興味があれば、本プログラムに参加して、ワシントンの裏側を覗いてみてください。



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