2016年5月1日日曜日

魔法の杖なんてない、が思いは大切に(本音のWhy MBA?)

こんにちは、Class of 2016のS. M.です。卒業式まで残り1週間を切っており、今回がMBAの学生としては最後の投稿となります。

同期にあたるM. I.さんがMBAでの留学生としての体験と成長について、S. T.さんがアメリカ/Kelleyで学ぶ意義について、と素晴らしい記事を投稿されているので、ぜひ読んでいただきたいのですが、私としては少しシニカルな視点から留学を終えるにあたり考えていることを書きます(私費留学寄りの話になっています)。

Just a tool

MBAがあれば、あなたは世界を良い方向に変えられるのでしょうか。MBAがあれば、あなたは優秀な経営者になれるでしょうか。…国際的な起業家になれるでしょうか。…仕事で優秀な成績を残せるでしょうか。…未経験の職種に転職できるでしょうか。

キャリア、マネジメント、ゴールにとってMBAは絶対に必要?

もし、受験生の方やビジネススクールへの留学を考え始めた方(あるいは単にMBAって何?という方)で、これらの問いへの答えが”Yes”だと思われるのであれば、一度”MBA”という単語を使わずにこれらのテーマについて考えることをお勧めします。

MBAは人生を豊かに出来るツールの一つですが、人生にとって唯一必須のものではないです。当たり前のことですが、何か目的があったとして、成し遂げる方法は常に複数ありますし、目的そのものを深く考え直すと、より良い他の目的が見つかることもあるものです。そのため、留学するかどうかは、どのような人生にしたいのか、という本人の考え方によるように思います(会社に指示されて…というならば、このツールをどう活かし、帰国後に会社に貢献するのかを考えるのが社員としての立場でしょう。)。

Not a Magic Wand

MBAはどんな問題でも解決してくれる魔法の杖ではありません。英語が話せるようになり、ストラテジー、マネジメントについて外国人とも議論できるようになり、問題を整理して解決するフレームワークをたくさん身に着ける。MBAに通えばこれらの能力自体は磨かれるかもしれませんが、では、これらの能力があれば全ての問題が解決するかといったらそうでもないわけです。

MBAは全てを解決する魔法の杖だろうか?何が出来て何が出来ないのか。

英語が話せたところで十分ではなく、直近では中国でのビジネスには中国語、長期的にはアフリカでのビジネスにはフランス語や他の現地語も話せたほうが良いでしょう。そもそも、英語自体の力で、ネイティブを上回ることはできませんし、言葉が話せるだけで問題が解決するわけでもありません。
ストラテジー、マネジメントについて議論したところで、実際に部下をやる気にさせて目標を上回る成果を挙げるには、個人レベルでのウエットな対応も必要になるでしょう。戦略や経営を語ってみたところで、実行力がないのであれば画餅に帰すわけです。
また、フレームワークというものは便利に見えるものの単なる枠組みに過ぎず、中身であるドメインの知識は自分でさらに学ぶか人を通して知る必要があります。また、フレームワークは適用の限界があり、それを超えて適用すれば企業を滅ぼす原因にもなり得ます。ケース・スタディでフレームワークの適用限界を議論するといっても、そもそもケースというのは理想化された状況であり、学びがそのまま現実社会で活かせるとも限らないです。

Okay, then why MBA?

ではMBA留学を選ぶ本当の意味とは何なのか、本音のWhy MBA?は、というと、人生という一度きりしかない体験をどのように過ごしたいのか、自分がどのような人間なのか、というところに尽きると思うのです。具体的なスキルであれば、何も海外MBAに留学しなくても習得する方法はたくさんあります。しかし、新しいことをしてみたい、違った環境から受ける刺激が好きだ、少数派の自分の存在意義を主張する困難ささえ自分の人生の糧にする、という人で、なおかつ、ビジネスクールの提供するハードスキルやソフトスキルが必要であるというならば、海外MBAに留学することが最高に楽しい2年間になるかと思います。

Kelley School of Businessの校舎。2年前にやってきたときは勝手が分からず右往左往したものです。

私自身、エッセーやインタビューでは、職務経験とキャリアゴールとのギャップを埋めるために必要なスキルはXとYとZで…といった話をしてきており、これ自体は今でも間違いないですが、同時に“MBAに行ってみたい。”と思ったときの新しいことに対する純粋なワクワク感といったものも変わっていません。実際、2年間をKelleyで過ごしてみて、スキルや人格面で鍛えられ、結果としてキャリアの方向性も大きく変えられたというのもあるのですが、新しい環境で困難があっても解決する中で自信がついたということと、学校・日々の生活・インターン・海外プログラム・休み中の旅行など本当に楽しかったということも同じくらい大切です。約4年前の“ビジネススクールに行こう”という気持ちをそのまま放置せずに本当に良かったと思います。

Cheers for all

これから受験準備に入られる方、既に受験勉強中の方、そして今後MBAに進学されるすべての方へ。受験プロセスは何かと大変なことも多いと思いますが、それ自体、自分について考える貴重な経験だと思って取り組んでください。そして合格した暁には、ぜひ最高に楽しい2年間を過ごしてください!
Indiana Universityの正門・サンプルゲート。在校生一同、みなさんをお待ちしています!

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