2017年5月2日火曜日

2年間のMBA生活で得た7つと卒業後の課題2つ

Class of 2017のK.Hです。卒業式を今週末に控えながら、引っ越し準備やファイナンスの授業のチーム課題とテスト準備に追われており、最後まで本当に慌ただしく過ぎ去っていくものだ、と実感しております。さて今回は最後の更新ということもあり、2年間の総まとめとして、私が得た7つのものと、卒業後の課題2つを書いていきたいと思います。

<MBAで得た7つのもの>

1.ビジネスに関するハードスキル


ビジネススクールカリキュラムにおいては当然の話なのですが、非常に広範囲のハードスキルを学ぶことが出来ました。私は出身企業が保険会社ということもありファイナンスとアカウンティングのメジャー(専攻)だったのですが、特にファイナンスについてはかなり幅広に知識を習得できたと思います。

私が取ったファイナンスの授業は企業評価・マネジメントサイドと、証券分析・投資戦略サイドに別けることが出来ると思っています。(それ以外にも経済学の授業もあるのですが)。企業評価サイドでは、「F540:The firm in the capital market」では企業価値の定量評価の手法を学んだのち、「F546:Corporate Financial Strategy」「F548:Corporate Governance and Restructuring」では定量評価を前提とした企業戦略について学ぶことが出来ました。また証券分析・投資戦略サイドとしては、「F520:Asset Valuation」で基礎的な証券評価やアセットマネジメントについて学んだのち、「F526:Derivative securities」ではデリバティブを、「F529:Equity Market」ではヘッジファンドの投資戦略と評価を、「F528: Fixed Income Investment」では特に証券化商品を、「F508: Valuation of Real Options」ではリアル・オプションを学びました。もちろんこれらは一例で、さまざまなテーマでファイナンスを学ぶことが出来ました。

こうしたハードスキルのベースは資格勉強でも身につけることが出来るのですが、MBAの場合ケーススタディを通じて具体的な企業での運用状況について検討することになります。また自ら選んだ企業の分析を行い、買収戦略などのプレゼンテーションを行うなど、実際のビジネスの場面に寄せているため、資格勉強とは異なる角度から深めることが出来ます。

ファイナンスを例に挙げましたが、これはアカウンティングや他のメジャー(専攻)でも非常に幅広くハードスキルを身に着けることが出来ます。

私自身、アプリカント時代や留学初期にソフトスキルを重視するあまり、ハードスキルについてあまり深く検討していなかった、という反省があります。優先順位はその時その時で変わるのですが、それでもこれだけ多くのハードスキルを取得できたことは非常に有意義でした。


2.日本人以外の方への理解


異なるバックグラウンドを持ったグループのなかで業務を行うようなものですから、必然的に互いの違いが見えてきます。個人ごとの相違、各国民性の相違はありますし、それに対する対応をしなくてはなりません。英語力の面でどうしてもハンデがあったため、この面についてはストレスも多かったのですが、少しずつ自分なりのリーダーシップを発揮できるようになったのは非常に良かったと思います。

また幸運にも学外の友人を得ることができ、彼らとのコミュニケーションを通じて、アメリカ人やアメリカの地域コミュニティに対する理解が進みました。当然ながら私自身の個人的なバイアスに基づいているのでそれが何かを書くことはしませんが、生きた経験を積むことが出来たのは、単純に楽しくもあり、今後の人生においても大きな意味を持つと思っています。


3.コミュニケーション能力


国外経験皆無の私にとってこのコミュニケーションというものは本当に大きなハードルであり続けましたし、2年間MBAにいても未だに問題を抱えっぱなしです。

さてコミュニケーション能力といっても単純に英語力の問題ではなく、そこで壁があるからこそ多くのものが試されます。 事前にどれだけの準備をしたか、自分の考えを決してうまくないだろう英語で論理立てて言えるか、反論に対し憶さずに再反論できるか、重要な事柄が分からないときに分かったふりをしないでしつこく聞けるか、日本語であれば普通に頑張れば出来る事柄が途端に胆力を要求するようになります。

まだまだ発展途上ではあるものの2年間のMBA生活で多くの実戦を経験させてもらいました。アプリカント時代はMBAにおける英語力向上を過大評価しておりましたが、今では一生の課題である開き直り、向上させていく必要があると感じています。


4.不確実性に対する耐性


分からないことだらけ、というのはやはりストレスの原因なのですが、それは私生活においても学校においても変わりません。私生活で言うと、アメリカの企業は良く言えばおおらか、悪く言えばいい加減なので、出来ると言われていたことが出来なかったり、エビデンスが必要だと思っていたものが無くても良かったり、と驚くことが多くありました。異国の地で住む以上、サプライズは当たり前なのですが、社費で来ており細かな書類を揃える必要がある私は、かなりストレスフルな時期がありました。やはりしっかり事前調査をし、しっかり食い下がる必要があろうかと思います。

またアメリカ独自ということではなく、ビジネススクールにおいてはかなりの数の前提(将来の売上成長予測やコストカットの進捗など)を使って将来収益性や株価の予測をすることが多々あります。私自身、こうした仮定の上に仮定を重ねて、議論を行うということに慣れていなかったため、この点でも気持ち悪さのようなものがありました。今でこそ慣れることが出来たのですが、不確実性に頭をさらすというのは訓練が必要だと感じました。


5.米国公認会計士(準備中)


学期期間中は多忙を極めるMBAですが長期休暇があるため、インターンのない社費の人間にとってそれをどう生かすかは死活問題です。交換留学という選択肢もあったのですが、会社とも相談の上、米国公認会計士に挑戦することになりました。

まだ全ての科目に合格はしておらず卒業後も挑戦は継続するのですが、こうした機会にMBAとは別の大きな資格の獲得にチャレンジすることは、自分の市場価値を上げる上でも本当に良い機会だったと思います。


6.自己分析


世界中から優秀な学生が集まるビジネススクールですから、自分の経験の狭さというものを思い知らされた経験は多々ありました。コアカリキュラムも終わらないうちからエクセルを駆使し企業の財務諸表から企業価値の分析をバリバリと行っていく者もいれば、非常にエネルギーに溢れた魅力的なプレゼンを行う者、初対面のチームメイトのグループでもしっかりとマネジメントし成果を出していく者、 そうした優秀な生徒に囲まれた生活は刺激的でもある一方、焦燥感の原因でもありました。

私が自分の強みを生かすきっかけとなった一つは、「A564 Detective Earning Management」という利益操作を見破るための会計の授業でした。内部監査人のバックグラウンドがあり、公認会計士試験の準備もしていた私は確かにあの授業ではかなりの貢献をすることが出来ました。

言語的な問題もあり、弱い立場になりがちなビジネススクールではありましたが、こうした経験もあり自分でもやれるという実感に得るこができました、しっかりと準備をして臨むことが出来れば、かなりのレベルで彼らに対し渡り合えるという自信を得ることも出来ました。それは自分がチームに対して何が貢献出来るかという自問自答の結果でもありますし、目の前の課題に対してプロフェッショナルに取り組むという社会人として当たり前の行いでもあるかと思います。


7.新婚生活と旅行、スポーツ観戦


幸運にも私は渡米直前に結婚し、こちらに来てからハワイで挙式を行いました。学期中は忙しく、長期休暇も会計士の準備で忙しかったため、頻繁に旅行に行くことは出来ませんでしたが、それでもスポーツ観戦や国立自然公園など一緒に楽しむことが出来ました。異国の地で苦労も多かったため、支えてくれた妻には本当に感謝です。


<卒業後の課題2つ>

1.職場におけるリーダーシップの発揮


MBAにおいてリーダーシップが発揮できるとは言っても、やはりそれは短期集中のものが多く、何かを完成させてしまえば終わりですが、実際のビジネスの場であればより長期に及びますし、何より成果に対しての厳しさが比較になりません。私自身、MBAのグループを仕切るような経験は多少あったのですが、同じ会社の同期を見れば組織の長として活躍している者もいるため、その点においては彼らに先を行かれていると思います。ここはMBAが実際のビジネスに比べて弱いところだと思います。自覚した上で鍛えていきたい分野の一つです。

2.継続的な英語力強化


留学前は2年間MBAにいればもう大丈夫だろう、と甘く考えていたのですが、実際には発展途上も良いところです。これからは目的ではなくツールとして英語を使う機会が増えるかと思いますが、この点も忘れずに訓練を続けていきたいですね。


非常に長くなってしまいましたが、この2年間を振り返ることが出来て良かったと思います。まだテストが残っているため卒業まではまだまだ忙しいですが、ブログという点ではこれが最後となります。アプリカントの皆さまもどうか頑張ってください。最高の留学生活が待っています。






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