2019年3月7日木曜日

Energy系 ケースコンペ(本選編)

Class of 2019のK.I.です。

前回のY.M.さんの投稿に続き、外部ケースコンペでの経験について共有させてください。

個人的に今回の経験は、「Kelleyでこれまで学んできたファイナンスの知識」および「これまでのキャリアで学んできた電力産業の知識」を総動員し、チームメンバーと協力して共通のゴールを目指すというとても達成感のあるものでした。
結果的に入賞することはできませんでしたが、Kelleyで学んできたことの集大成として、自分の得意分野で力を発揮でき、チームでの学びも多くありました。

本選ケースの概要・準備期間! 

アメリカのMBAにおけるケースコンペというのはだいたい同じようなフォーマットだと思うのですが、一次選考を突破したチームのみがオフィシャル・ラウンドに呼ばれ、現地でのプレゼンに臨みます。その後現地でさらに数チームが選抜され、ファイナル・ラウンドが行われて順位が決まるというものです。短期間でコンサルのピッチを体験するような感じです。

さて、無事Mini Caseによる選考を通過した我々は、NYで開催されるオフィシャル・ラウンドへ招待されました。オフィシャル・ラウンドでは新たなケースが課され、プロポーザルの提出期限として10日間が与えられました。

ケースの内容を簡単に紹介しますと、①与えられた選択肢から顧客(テキサス州の病院、ニューヨーク州の実験施設、ミネソタ州のコミュニティ等) を1つ選び、②その顧客に対し (a)エネルギー強靭性の向上、(b)環境負荷の低減 の2つのゴールを達成するエネルギーシステムを提案せよ、というものでした。
エネルギーシステムに組み込める熱源には指定があり、ガスタービン、太陽光、風力、バイオマス、バッテリー・・・等が与えられ、ファイナンスの仕方については「プロジェクトファイナンス」という指定がありました。

こうして様々指示が与えられる中、データについては何ひとつ与えられなかったため、「顧客のエネルギー消費量」「顧客のデマンドカーブ」「デマンド料金・電力量料金」「現地の太陽光照射量・風況」「連邦・州の規制」など、様々な条件・データについてリサーチし、どうしても得られないデータについては仮説を立てて仕上げていく必要がありました。
ケースコンペへの参加は当然任意ですので、通常の授業の課題をこなしながらでの作業になります。限られた期間でのチームワークとなり、時間との勝負でもありました。

多くの制約があるなかではありましたが、我々のチームは「リサーチ⇒プロポーザルの骨子考案⇒教授へのインタビュー⇒財務モデル構築⇒プロポーザル考案・プレゼン作成⇒クラスメートをオーディエンスにしたプレゼンの練習」という作業をすべて時間内に終えることが出来ました。

これは今回の参加チームは以前にファイナンスのリアル・オプション理論の授業(F508 VALUATION OF REAL OPTIONS)でチームを既に組んだことがあったことから、お互いのスタイルをわかり合っていたという点も大きく貢献したと思います。

また、当校の教授にプロポーザルの骨子についてアドバイスを求めた際にいただいた「経済的メリット(NPV[正味現在価値])も重要だが、クライアントの重視する優先事項を忘れないこと」というフィードバックがチームのプライオリティを定義する重要なガイドラインとなり、スムーズに意思決定を行うことが出来たと思います。

この経験からの学び 

コロンビア大学を訪問できたことも刺激になりました。

NYでの発表当日、午前2時にNYに到着した我々は数時間の睡眠を取り、午前中の発表までにも数度プレゼンの練習を行い、準備万端で臨みました。
個人的には、「情報収集・リサーチ」「データ分析」「財務モデル」「プレゼンテーション」どれをとっても、これまでで最高の出来だったと思います。
結果的に入賞には至りませんでしたが、今回このケースコンペに参加したことで、MBAで学んできた知識とチームワーク面での成長を実感でき、自信に繋がりました。今後の財産になる経験だったと思います。

以下に簡単に、今回のテイクアウェイをまとめたいと思います。

1. それぞれが持つ強み(財務・会計に関すること、エネルギー技術や規制に関すること)を発揮できた

    ・ケース提出まで10日間のみという限られた時間の中で、早い段階でチームとしての優先事項を決め、各自の役割を明確化したことで、リサーチやエクセルでの分析に時間をかけることができた。
    ・全員がファイナンス専攻ということで、財務モデルの構築のために各自が貢献できた。
    ・F541 SPREADSHEET MODELING IN FINANCE(財務モデル構築の授業)で習った知識を総動員し、エネルギー消費量とキャッシュフローの予測をリンクさせた財務モデルを構築できた。
 ・こうしてそれぞれが育んできたスキルセットを発揮した結果、クオリティの高いピッチが完成出来たと思います。


2. チームとして建設的な働きが出来た

    ・チームでのディスカッションでは、全員が反対意見を積極的に発言し、建設的な議論を行うことができた。
    ・時間の無い中でありながら、ネガティブな発言をするものが居らず、前向きな姿勢で終始取り組むことができた。
 ・これもそれぞれがこれまで培ってきたチームリーダーシップの成果だと思います。


逆に反省点としては以下のようなものがありました。
    ・効率よく円滑に議論を進めてはいたものの、貴重なミーティングの時間に細かいことで議論になってしまった時間はもったいなかった。細かい作業は個人作業とし、ミーティング中は大局を見失わぬよう気をつけなければならないと感じた。
    ・入賞チームの発表内容と比較して、自分たちの提案を疑ってかかる(ストレス・テストを行うなど)という視点が我々には欠けていた。
 ・Kelleyのファイナンスの授業ではミスリーディングである可能性があるため余り扱われない「IRR(内部収益率) 」に関して審査員から質問されたり(我々はNPV(正味現在価値)しか用意していなかった)、他校のプレゼンでもIRRが経済性の指標として使用されていたりして、一般的に利用されているものなのだということを学んだ(無知ですみません)。同時に、IRRの問題性についておさらいし、自分の言葉で説明できるようにならなければならないと感じた。 (ご興味のある方はこちらをご覧ください)


以上、個人的な学びを羅列してしまいましたが、学校の授業を受けているだけでは得られないような学びがケースコンペにはあり、純粋に楽しい経験でした。
ケースコンペからテイクアウェイすることは人それぞれだとは思いますが、授業で習った理論をハンズオンで試すことのできる貴重な機会です。
MBA在籍中しか体験できないことですので、機会があればぜひご参加をご一考ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿